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置き配で盗難被害に遭った! 正しい対処法について弁護士が解説

2021年05月20日
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置き配で盗難被害に遭った! 正しい対処法について弁護士が解説

インターネットショッピングの大手「Amazon(アマゾン)」は、令和2年3月から置き配指定サービスを開始しました。配送方法として設定しておけば、不在時でも玄関先や宅配ボックスなどに荷物を置くサービスで、一部地域を除き全国30都道府県の都市部を中心に提供されています。兵庫県では神戸市を含む15の市・郡でサービスが提供されているので、すでに利用している方も多いのではないでしょうか。(※令和3年(2021年)3月時点)

置き配は玄関先での応対を必要とせず、不在時でも荷物を受け取ることができるので再配達を依頼する手間が省けるとして好評な一方で、盗難被害にあったなどのニュースや情報も耳にします。置き配サービスを利用した結果、盗難などのトラブルがあった場合に補償があるのかも気になるところです。

このコラムでは、宅配便の「置き配」サービスを利用した際に盗難などの被害に遭った場合の対処法や補償について、神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、広がりをみせる置き配サービス

従来、宅配便の置き配といえば、宅配便業者などが不在配達の手間を省くために犯すルール違反というイメージがありました。しかし近年では、インターネットショッピングの普及や受取人の生活サイクルの多様性、さらに感染症予防などの観点から置き配を望む声が高まり、大手の宅配便業者などがそろってサービスを開始しています。

まずは、置き配がどのようなサービスなのか、サービスの提供状況などとあわせて解説します。

  1. (1)置き配とは

    もともと、置き配とは宅配便業者の間で使われる造語のようなものでした。
    通常の流れでは、宅配便業者が受取人の在宅を確認し、受取人からサイン・押印を受けることで荷物の引き渡しがおこなわれます。ところが、不在などでスムーズな配達ができない場合に、荷物を玄関先などに置いたことで配達完了とする、宅配便業者としては絶対にやってはいけない違反行為として認識されてきたのが置き配だったのです。

    近年、置き配という用語は、違反行為のイメージとは正反対の正規のサービスとして認識されるようになっています。受取人があらかじめ指定した場所に置くことで、受取人と面接せず、サイン・押印も不要のまま配達完了とするサービスを置き配といい、経済産業省・国土交通省の主導によって整備が進められました。

    置き配サービスは非常に便利なシステムです。
    仕事の用事で日中は一切在宅していない、育児・介護のために在宅していても荷物の受領(じゅりょう)が難しいなど、宅配便を利用する多くの消費者が抱える問題の解決策として注目されています。また、再配達の手間を省略することで、慢性的な人員不足で悩まされている運送業界の業務効率化を図り、ひいては二酸化炭素の排出量も減少させる効果もあるといわれています。

  2. (2)大手宅配便業者の対応状況

    令和3年3月時点で、大手宅配便業者は置き配サービスを実施しています。

    ● 日本郵便
    玄関前・鍵付きの容器・メーターボックス・物置・車庫・宅配ボックスなどへの置き配が可能です。ただし、利用開始には配達郵便局に対して「指定場所配達に関する依頼書」を提出する必要があります。

    ● ヤマト運輸
    ヤマト運輸と連携しているオンラインショップなどで購入した商品は、置き配サービスを利用することができます。オンラインショップでの購入時に設定するか、購入後に送信されるヤマト運輸からのメール、またはLINEで設定することが可能で、配達完了後には置き配状況を写真で確認することもできます。

    ● 佐川急便
    個別契約を結んでいる荷主から出荷される荷物に限って、指定場所配送サービスの利用が可能です。ヤマト運輸同様に、配達後はセールスドライバーが配達状況の写真を撮影します。

2、置き配で盗難被害に遭わないための対策

置き配サービスの利用にあたって最大の問題となるのが、盗難被害などに遭うおそれが高いことです。荷物を受け取る顧客が心配するのはもちろん、サービスを提供する販売者や宅配便業者側もさまざまな対策を打ち立てて被害防止を進めています。

置き配サービスの利用で盗難被害に遭わないためにはどのような対策が有効なのでしょうか?

  1. (1)宅配ボックスなどを利用する

    盗難被害を防ぐには、物理的に盗むのが難しい状態を作り出して防御するのがもっとも有効です。置き配サービスを提供している事業者のなかには、自社専用の宅配ボックスを有償・無償で配布しているところもあります。

    また、集合住宅では鍵付き、あるいは暗証番号式の宅配ボックスを設置しているところも多いので、各世帯で考えられるもっともセキュリティー性の高い方法を指定するように心がけましょう。

  2. (2)放置時間を短くする

    配達完了から実際に荷物を受け取るまでの放置時間が長ければ長いほど、盗難のリスクは高まります。

    置き配だからいつでもいいと考えるのではなく、置き配だからこそ日付・時間帯を指定して放置時間をできるだけ短くするように工夫しましょう。

  3. (3)利用範囲を限定する

    宅配便の需要が高まるなかで荷送り人・受取人のお互いの利便性を高めるサービスですが、盗難のリスクなどを考えれば、使用するシーンを限定するのが賢明でしょう。

    特にインターネットで頻繁に買い物をしていると、何がいつ届くのか、把握が難しくなることもあります。置き配を設定したことを忘れてしまうと、盗難の被害に遭うおそれが高まるだけではなく、雨などによって荷物そのものが破損するなどのトラブルにもつながりかねません。

3、置き配で盗難被害に遭ったときの正しい対応

置き配サービスを利用して荷物が盗難被害に遭ってしまった場合は、どのような対応を取れば良いのでしょうか。

  1. (1)宅配便業者・出荷元に補償を申請する

    データ上は配達が完了しているにもかかわらず、指定した場所に荷物がない場合は、盗難被害に遭ったおそれがあります。まずは荷物を配達した宅配便業者に連絡をして、確実に配達が完了しているのかを確認するのが先決です。

    盗難被害に遭った事実が確認できれば、宅配便業者や商品の出荷元に対して補償が可能な状況であるのかを問い合わせて、可能であれば補償を申請しましょう。

  2. (2)警察に被害届を提出する

    置き配サービスを利用したうえで荷物が紛失した場合は、窃盗事件の被害に遭ったことになります。盗難に遭ったことが判明した時点で、直ちに管轄の警察に通報して被害届を提出しましょう。

    警察署や交番に出向く必要はなく、自宅から110番で通報して警察官の臨場を求め、現場を確認してもらうとスムーズです。現場の鑑識作業なども必要なので、必要以上に現場の状況を変えないように心がけてください

4、置き配の盗難被害は誰が補償するのか? 請求先や請求方法

置き配サービス利用時に盗難被害に遭った場合、その損害は誰が補償するのでしょうか?

  1. (1)荷送り人・受取人の双方が了承している場合

    置き配を正規のサービスとして提供しており、荷送り人・受取人の双方が了承したうえで置き配を利用した場合は、宅配便業者、荷送り人いずれも責任を問われません。ただし、双方が正しくサービスを利用したうえで盗難被害に遭った場合は、置き配サービスを提供している販売者や保険会社による補償が適用される可能性があります。

    たとえばAmazonでは、被害に遭われた人が、盗難被害が発生したことを公式サポートに連絡して事情を説明すれば、同一商品の再送、同一商品の在庫がない場合は返金を受けられます。

    また、置き配用の専用ボックスを提供している事業者の中には、専用ボックスを購入し、提携サイトで商品を購入した場合に限って、盗難時に一定額を補償するサービスを提供するなどの対応策を打ち出しているケースもあります。

    一般の保険会社でも、置き配による盗難被害を火災保険の対象としていることもあるので、置き配サービスを頻繁に利用している方は検討してみるとよいでしょう。

  2. (2)無断で置き配された場合

    受取人に断りがないまま置き配を受けて盗難被害に遭った場合は、補償の申請先にいくつかのパターンがあります。

    まず、受取人が了承していないのに荷送り人が置き配を指定していた場合、申請先は商品の売り主である荷送り人です。

    ネットショッピングなどは、受取人に直接引き渡すということが合意の内容になっていることが一般的です。そのため、受取人に無断で置き配を指定した場合は、売り主・荷送り人としての責任を果たしていないことになるため、補償の責任を負うのは売り主・荷送り人です。

    次に、荷送り人・受取人のいずれもが置き配を了承していなかった場合、補償の申請先は実際に荷物を配達した宅配便業者になります。

    商法第575条は「運送人の責任」として、荷物の受け取りから引き渡しまでの間に滅失・損傷・延着が生じた場合、運送人が損害賠償の責任を負うことを明示しています。荷送り人・受取人の了承を得ていない置き配は、責任をもって荷物を引き渡すという宅配便業者としての責任を果たしていない行為といえます。

  3. (3)盗難の加害者が特定できた場合

    盗難の加害者が特定できた場合は、刑事事件として扱われます。

    犯人が見つかれば、警察が逮捕して商品や代金の弁済をさせてくれると考えている方も少なくありませんが、警察は補償に関するサポートは行っていません。

    盗難の加害者から補償を受けるには、加害者に対して金銭の支払の交渉を行うか、損害賠償請求の民事訴訟を起こす必要があります。交渉や民事訴訟の手続を個人で進めていくのは簡単なことではないので、弁護士に相談してサポートを求めましょう。

    ただし、加害者から「弁済するので被害届を取り下げてほしい」と示談をもちかけられるケースも想定されます。示談を受け入れた場合は、裁判を経ることなく補償を受けられるでしょう。

5、まとめ

置き配は、現代の生活にマッチした新しいサービスとして高く評価されています。
大手インターネットショッピングサイトやEC事業者が導入する事例も多く、従来は禁止行為としていた宅配便業者も、これに応えるかたちで柔軟にサービスを提供している状況です。

一方で、置き配を巡るトラブルも発生しています。置き配サービスを利用して盗難被害に遭い、荷送り人や宅配便業者に補償を拒まれてしまった、加害者が弁済をしてくれないといったトラブルでお悩みであれば、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスにご相談ください。
状況を詳しく精査したうえで、補償を受けるためのアドバイスや、荷送り人や宅配便業者などとの交渉をサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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