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自動車の個人売買でトラブル! 買い主が名義変更をしてくれない時の対処法

2020年08月27日
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自動車の個人売買でトラブル! 買い主が名義変更をしてくれない時の対処法

自動車を購入するルートとしては、自動車ディーラーや中古車販売店が一般的です。
ところが近年では、インターネットオークションや、中古車を「売りたい・買いたい」と希望している人のマッチングサイトなどを介して、個人間で自動車が売買されるケースも増えています。実際に、インターネットで「神戸 車 個人売買」と検索すると、さまざまな個人売買のサイトがあり、神戸市内で車の個人売買を希望している人が複数いることがわかります。

買い主としては相場よりも安く自動車を購入でき、売り主としては業者への売却や下取りよりも高く処分できる可能性があるというメリットがありますが、トラブルも絶えません。

自動車の個人売買におけるトラブルで典型的なものが、「買い主が名義変更をしてくれない」というケースです。売り主が連絡しても対応してくれない悪質な買い主も存在するため、正しい解決方法を知っておくべきでしょう。

本コラムでは、自動車の個人売買した際、「買い主が名義を変更してくれない」場合の対処法について、神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、自動車の「名義」とは? 所有者と使用者の違い

住宅や土地における「名義」とは、「所有者」のことを指します。名義=持ち主という、とてもわかりやすい方程式です。
ところが、自動車に関しては、自動車検査証の「名義」の考え方が複雑です。

自動車の名義には「所有者」と「使用者」の2つが存在しており、単に「自動車の名義」といってしまうと、どちらのことを指しているのかが判然としません。

  1. (1)名義人=持ち主とは限らない

    自動車には自動車検査証、いわゆる「車検証」の備え付けが義務付けられています。
    車検証には、自動車の型式や排気量といった基本的な情報に加えて「名義」を示す情報も記載されていますが、そこには「所有者」と「使用者」の欄があります。

    自動車においては、普段からその自動車を運転している持ち主が「所有者」である名義人とは限りません。
    もっとも典型的な例が、ローンを利用して自動車を購入したケースです。
    ローンを返済している間は「所有権留保」という状態になり、所有者がローン会社、使用者が購入者となり、ローンの完済時に自動車の所有権がローン会社から購入者になることが一般的でしょう。何らかの理由があってローン返済が不能となった場合、ローン会社はローンの返済にあてるための担保として自動車を回収します。

    また、親が子どもに自動車を買い与えたなどのケースでは、親が所有者となって子どもを使用者とすることもめずらしくありません。

  2. (2)自動車の「所有者」と「使用者」の違い

    自動車の所有者と使用者について、さらに詳しくみていきましょう。

    まず「所有者」とは、その自動車に対して所有権を持っている人を指します。
    不要になったので売却したい、修理できないほど古くなったので廃車にしたい、といった重要な手続きでは所有者の同意が必要です。

    「使用者」とは、その自動車を利用できる人のことをいいます。
    実際にその自動車を普段から使う人を指していると考えればよいでしょう。

  3. (3)名義変更の方法

    自動車の名義を変更する手続きは、自動車の区分によって異なります。

    普通自動車であれば、陸運支局で手続きをすることになり、譲渡証明書・新旧の所有者の印鑑と印鑑証明・委任状・新使用者の車庫証明書などが必要です。

    軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で手続きをします。
    譲渡証明書や印鑑証明は不要ですが、車検証のほか、旧所有者の印鑑と、新しい所有者・使用者の印鑑などが必要です。

    ディーラーや中古車販売店などで自動車を購入した場合、これらの手続きをすべて代行してくれますが、個人売買の場合は自分で手続きをするか、行政書士などに依頼することになります。

2、買い主が名義変更をしてくれない! 想定されるトラブル

個人売買で自動車を売却したところ買い主が名義変更をしてくれないというケースでは、どのようなトラブルが起きてしまうのでしょうか?

  1. (1)自動車税が課税される

    自動車の所有者には、自動車税が課税されます。
    自動車税が課税される基準日は毎年4月1日であり、この時点における「所有者」である名義人に対して課税され、ローン返済のために所有権留保の合意をしている場合は「使用者」である名義人に課税されます。

    自動車を売却したにもかかわらず買い主が名義変更をせず4月1日を過ぎてしまえば、「所有者」として記載されている名義人に対して課税通知書が届き(所有権留保の合意がある場合は「使用者」に対して課税通知書が届き)、手放したはずの自動車に対する自動車税を負担しなければならない可能性が高くなります。

  2. (2)駐車違反の放置違反金が科せられる

    名義変更をしないまま、買い主が駐車禁止・駐停車禁止の場所で放置駐車をしてしまった場合、所有者宛てに「放置違反金」の納付書が送付されます。

    駐車違反は、本来は自動車を禁止場所に駐停車させた運転手の責任ですが「誰かが盗んでここに駐車したようだ」といった言い逃れが横行していました。そこで平成18年からは、運転者などが明らかではない場合、いわゆる「車検証」に記載された「所有者」にその責任を課す制度へと改正されたのです。

    放置違反金の納付書によって、名義変更をしていない事実が発覚する事例もめずらしくありません。

  3. (3)事故や事件に巻き込まれるおそれがある

    ひき逃げ事故や何らかの犯罪に、売買した自動車が使用された場合、「車検証」に記載された「所有者」である名義人までもが容疑をかけられてしまうおそれがあります。
    罪に問われてしまったり、所有者だからといって賠償責任を負ったりすることはまずありませんが、警察から事情聴取を受ける事態になる可能性はあるでしょう。

3、買い主が名義を変更してくれない場合の解決方法

名義変更をしないことによって、さまざまな不利益を被る可能性があります。
では、個人売買で自動車を売った相手が名義を変更してくれない場合、どのような方法で解決すればよいのでしょうか?

  1. (1)電話・面会で名義変更を催促する

    まずは、電話やメールなどで買い主に「名義変更してほしい」と伝えましょう。
    相手の住所を知っているのであれば、直接会って催促するのも効果的です。ただし、いきなり相手方に押しかけるとトラブルに発展しやすくなるので、まずは連絡を尽くすほうが賢明です。

    単に忘れていた、などといったケースであれば、すぐに問題は解決するはずです。

  2. (2)内容証明郵便を利用する

    何度も名義変更を依頼しているのに応じてくれない、または連絡もとれない場合は、買い主の住所宛てに内容証明郵便を利用して文書を送付しましょう。

    内容証明郵便とは、差出人が作成した文書の謄本2通を郵便局が作成し、差出人が作成した文書を相手に送付するとともに、2通の謄本のうち1通は郵便局の証明を受けて差出人が保管し、もう1通は証明用として日本郵便が保管する郵便サービスです。

    いつ、どのような内容の文書を買い主に通知したのかの証明になるほか、内容証明に「法的措置も検討している」と記すことで、買い主に対するプレッシャーをかけることができます。

  3. (3)弁護士に対応を任せる

    あらゆる手を尽くしても買い主が名義変更をしてくれない場合は、弁護士に相談するのが得策といえます。
    弁護士が代理人となり名義変更を要求することで、相手へのけん制になり、名義変更の手続きをすすめてくれる可能性があります。また、当事者同士だけで話し合いをしようとすると、予期せぬトラブルに発展することもあり得ますが、弁護士へ対応を一任することで冷静に話し合いが進むことが期待できます。

    その他、何らかの事故・事件に巻き込まれてしまった場合や、放置違反金の納付書への対応などについても解決に向けたサポートを受けることができます。

4、名義変更だけではない! 個人売買のトラブル事例

自動車の個人売買においては、「買い主が名義変更をしてくれない」といった事例のほか、次に挙げるようなトラブルも予想されます。

  1. (1)事故歴や修復歴をごまかされた

    個人売買の多くはインターネットを介してやり取りをするため、実際の状態がわからないまま購入してしまうケースも少なくありません。
    自分が買い手にまわった場合は、事故歴や修復歴をごまかされてしまい、質の悪い中古車を購入してしまう可能性もあるのです。
    実際の状態をしっかりと確認したうえで、事故歴や修復歴にごまかしがないことを証明する書類の引き渡しや契約書の交付を求めましょう。

    また、自身が売り手にまわる場合は、それらの書類をしっかりと準備をしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

  2. (2)盗難車だった

    個人売買でトラブルに発展しやすい事例のひとつが「盗難車だった」ケースです。
    盗難車とは知らずに購入したとしても、あとになって実は盗難車だったことが発覚してしまうと、自動車は警察に押収されてしまいます。

    しかも、自動車が押収されても警察が車両の購入代金を取り返してくれるわけではないので、結果的に大きな損失を被るおそれがあります。

  3. (3)車を引き渡してくれない

    買い主が代金を支払ったにもかかわらず、売り主が自動車を引き渡してくれないというトラブルもめずらしくありません。
    ネットオークションなどで、まだ引き渡しを受けていないのに「先に受け取り評価をしてほしい」と求められた場合は特に要注意です。受け取りの評価をしてしまうと、オークションの運営元からの補償が受けられなくなるおそれがあります。

    また、買い主が名義変更をする際に必要な委任状などを、売り主が渡してくれないといったトラブルもあります。
    売り主が名義変更に必要な書類を渡してくれないケースでは、実は売り主が正規の所有者ではなかったという可能性もあるので要注意です。

  4. (4)代金を支払ってくれない

    自動車の引き渡し時点では代金を支払わず、後日払いで同意したものの、約束の期日にも支払ってもらえず、そのまま音信不通になってしまうケースもあります。
    安全に取引するためには、先日付での支払いの約束や分割の約束は避けて、引き渡しと代金全額の支払いを同時にすると安心でしょう。

5、まとめ

個人売買で売却した自動車の名義が変更されていなくても、売り手側が気付くのは容易ではありません。自動車税が課税されたり、放置違反金の納付書が送られてきたりして、初めて気が付くということが多いでしょう。車を売ってから時間が経過していて連絡がつかない、連絡しても対応してもらえないといったトラブルにつながることも少なくありません。

車の個人売買をしたが買い主が名義変更に応じてくれない、代金を支払ってもらえないなどのトラブルを抱えている場合は、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士は状況に応じた適切なサポートで、少しでも早くトラブルを解決するべく尽力します。
自動車の個人売買トラブルでお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスにお任せください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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