リフォーム工事で業者とトラブルに! 解決方法や相談先を弁護士が解説
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リフォーム工事は、中古住宅のリフォーム、バリアフリーに改装する、雨漏りを修復するなど、さまざまなシーンにおいて発生する可能性があります。
しかし、「追加工事で思わぬ高額の請求書が来た」、「工事後も不具合があるのに代金を請求された」など、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことも少なくありません。神戸市は、ホームページ上で、リフォーム関する契約等のトラブル相談窓口を案内しています。
リフォーム工事のトラブルは、ご自身だけで解決しようとしても、トラブルを深刻化させてしまう可能性があります。
本コラムでは、リフォームトラブルにおける法的な解決方法や相談先についてベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説します。
1、「リフォーム工事」のよくあるトラブルとは?
リフォーム工事に関しては、次のようなトラブルが生じることがあります。
●見積書の内容が不透明
リフォーム業者から提出された見積書には「○○工事一式」とのみ記載されており、具体的な内容を特定していないケースがあります。このような見積書に基づいて工事を行った結果、工事内容などの認識が異なりトラブルが生じることがあります。
●訪問販売で高額の契約をしてしまったが解約したい
訪問営業にきたリフォーム業者から屋根の塗装工事をすすめられて、その場で契約したものの相場を調べたら高額だった……などのケースです。耐震工事をしたほうが良いなど不安をあおり、契約を促すケースもあります。
●代金を支払ったのに工事が始まらない
リフォーム工事の費用を入金したものの、工事が始まらないケースです。この場合は、早急に業者へ連絡し、対応を協議する必要があるでしょう。
●工事をしても不具合が直らなかった
工事が完了した後も、不具合が修繕されていない、修繕した部分が壊れたなどのトラブルも少なくありません。
●シックハウス症候群になった
建築材料に含まれる化学物質によって、家で生活すると頭痛やめまいや吐き気などに襲われるといった症状(シックハウス症候群)を発症してしまうことがあります。
●追加工事の費用が高額だった
リフォーム工事を進めるうちに、従来の契約内容に追加して工事を発注することがありますが、口頭で約束したようなときには注意が必要です。
両者の認識が異なっていれば、追加工事に関して想定していたより高額な費用が発生する可能性もあり得ます。
2、リフォーム業者に責任追及は可能?
リフォーム工事でトラブルが生じた場合、消費者は業者に対して、法的な責任を追及することができます。
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(1)リフォーム工事は請負契約が基本
リフォーム工事は、工務店などのリフォーム業者と消費者で締結する「請負契約」に基づいて行われるのが一般的です。請負契約とは、当事者の一方(請負人)が相手方に対し仕事の完成を約束し、他方(注文者)がこの仕事の結果に対する報酬を支払うことを約束する契約です。
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(2)契約不適合責任とは
令和1年4月に改正民法が施行されたことにより、請負契約から生じる責任についても変更点が生じ、これまでの「瑕疵(かし)担保責任」の規定に代わり、新たに「契約不適合責任」が制定されました。
リフォーム工事の請負契約から生じる「契約不適合責任」とは、契約の内容に適合しない工事に対して請負人が負うべき責任です。
従来の瑕疵担保責任よりも、責任追及の選択肢は広がっており、契約不適合に該当すれば、注文者はリフォーム業者に対して、次のような請求が可能です。- 契約解除
- 損害賠償
- 代金(報酬)減額
- 追完(修補)請求
なお、上記以外に「無催告解除」や「催告解除」の請求も可能ですが、無催告解除は契約の目的を達成できない場合に、催告解除については、追完請求をしたにもかかわらず、売り主側が応じない場合にのみ行使することが可能です。
ただし、「注文者がその不適合を知ったときから1年以内」にその旨を請負人に通知しなければ責任追及はできないので、注意が必要です。 -
(3)訪問販売の場合はクーリングオフも検討
訪問販売は、特定商取引に関する法律の適用があります。
そのため、訪問販売で契約してしまった場合は、一定の事項が記載された法定書面を受領してから8日以内であれば、契約の申し込みの撤回や解除(クーリングオフ)が認められます。
また、記載されるべき条件をみたさず、「法定書面」に該当しない契約書類は、いつでもクーリングオフができることにも注意が必要です。たとえば「塗装工事一式」とのみ記載された工事請負契約書が交付されていたときには、役務の内容が特定されているとは言えないので、「法定書面」と認められない可能性があります。このようなケースでは、8日を超過していたとしてもクーリングオフが可能です。
3、リフォームトラブルを防ぐためにできること
リフォームトラブルを防ぐために消費者ができることとしては、次のようなものが挙げられます。
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(1)複数の見積もりを比較する
リフォーム工事をするときには見積書を交付してもらい、内容について分からない点は業者によく確認しておくことが大切です。可能であれば複数の業者から見積もりをとって比較するとよいでしょう。
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(2)証拠を残しておく
口頭のやりとりだけは、「言った」、「言わない」とトラブルのもとになりがちです。トラブルになったときに証拠として提示できるよう、業者との話し合いは記録に残しておきましょう。
また、リフォーム前や工事中、工事後の写真を撮っておくことも有効です。 -
(3)工事の必要性をよく検討する
「すぐに契約すればお安くできます」などと業者にせかされたとしても、工事の必要性をよく検討してから契約することが重要です。また、業者に追加工事などをすすめられたとしても、必要性の有無をよく検討して断るときにははっきりと伝えましょう。
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(4)相談機関や制度を活用する
リフォームによるトラブルを未然に防ぐためには、相談機関や制度を利用することもポイントになります。
たとえば、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営している「住まいるダイヤル」もそのひとつです。国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口で、リフォーム工事に関して無料で相談が可能です。
また、リフォーム瑕疵(かし)保険制度を活用することも有益です。
リフォーム瑕疵保険制度とは、加入している事業者のリフォーム工事に欠陥が見つかったときや倒産したときに、国が指定する保険法人から保険金が支払われます。
ホームページで加入業者をチェックしたうえで依頼すれば、万が一の際に安心です。
4、リフォームトラブルはどこに相談する?
リフォームトラブルの相談先としては、主に相談窓口や弁護士などが挙げられます。
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(1)消費生活センターなどの相談窓口
リフォーム工事をめぐる業者とのトラブルであれば、消費生活センターなどの相談窓口が利用できます。また先にご紹介した「住まいるダイヤル」では、連携している弁護士や建築家による対面相談も無料で利用できます。そのほか、国民生活センターや、市役所などの無料相談窓口も利用すると良いでしょう。
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(2)弁護士
弁護士は、裁判になるような案件でなければ相談ができないと思われるかもしれません。しかし、弁護士は身近に起きる法的な問題を解決する専門家です。
弁護士は、状況を整理した上で適切な助言をするだけではなく、必要に応じて代理人としてトラブルの相手と交渉を行うことも可能です。弁護士が交渉相手となることで、トラブル相手は不当な要求や責任を逃れることができなくなり、早期解決を図ることができる可能性があります。
また、調停や裁判などに発展してしまったときでも、弁護士は有利な結果になるよう効果的な立証や主張を行うことが可能です。
どのような展開になった場合も、ご相談者の方の強い味方として、解決するまで徹底的にサポートします。
5、まとめ
本コラムでは、リフォームトラブルにおける法的な解決方法や相談先について解説しました。
リフォームしたい内容が明確であり、熟考した結果、依頼できるのであれば、見積もり複数とる、契約書をしっかりと確認する、専門家へ相談するなどで、事前にトラブルを回避することが可能です。しかし、不具合が生じているなど急を要するリフォームの場合は、落ち着いた判断ができないことも少なくありません。
契約書の内容で気になる点がある、リフォームを依頼したもののトラブルになっているという場合は、個人で解決しようとせず、専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスでは、日常生活のなかで発生した法的トラブルのご相談も受け付けております。お話を丁寧にうかがった上で状況を整理し、法的に問題を解決できるよう弁護士が尽力します。ぜひご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています