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地位確認請求とは? 労働者がしっておくべき不当解雇への対処法

2022年09月13日
  • 不当解雇・退職勧奨
  • 地位確認請求とは
地位確認請求とは? 労働者がしっておくべき不当解雇への対処法

兵庫労働局が公表している、個別労働紛争解決制度の施行状況の資料によると、令和2年の民事上の個別労働紛争相談件数は1万3969件であり、そのうち解雇(普通解雇、整理解雇、懲戒解雇)に関する相談が1849件を占めています。解雇に関する相談は、「いじめ・嫌がらせ(3484件)」に次いで、2番目に多い数字となりました。

自分のされた解雇が「不当解雇」である可能性があるなら、会社に対して解雇の撤回を求めることも検討する必要があるでしょう。しかし、会社との交渉では会社側が解雇の撤回を認めることはなく、交渉が難航することも少なくありません。

交渉が成立しない場合には裁判所に救済を求めることになりますが、その際に利用される方法が裁判所を用いた会社に対する「地位確認請求」です。本コラムでは、不当解雇をされた場合における地位確認請求の裁判について、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、地位確認請求とは?

地位確認請求とは、会社から解雇された労働者が、解雇が無効であり、依然として会社との間で労働者としての地位を有していることの確認を求める手続きです。
裁判所を用いる場合、具体的には、労働審判または訴訟のいずれかの方法で、労働者が雇用契約上の地位を有することの確認を求めます。

審判または判決によって、解雇が無効であると判断された場合には、労働者の解雇はなかったことになり、解雇時点にさかのぼって労働契約の継続が認められることになります
また、労働審判や訴訟で地位確認請求をする場合には、併せて未払い賃金の請求を行うのが一般的です。
解雇が無効であると判断されると、会社は無効な解雇後の賃金についても、基本的に支払う必要がありますので、地位確認が認められた労働者は、無効な解雇後の未払いとなっている賃金についても受け取ることができます。

2、不当解雇を疑ったときに確認するべきこと

以下では、解雇が不当であるかどうかを判断する際に確認すべき、解雇に関する基本原則について説明します。

  1. (1)解雇には厳格なルールがある

    解雇とは、使用者が労働者との間の労働契約を将来にわたって一方的に解約することをいいます(有斐閣法律用語辞典 第4版)。解雇を言い渡された労働者には、解雇に応じるかどうかの決定権はなく、正当な根拠に基づく解雇であれば、会社の意思だけで労働契約が終了するという特徴があります。

    このように、解雇は、会社の一方的な意思表示によりなされるものです。
    会社が自由に労働者を解雇することができるとなれば、労働者の地位は著しく不安定なものとなってしまいます。そこで、労働契約法や判例では、会社が労働者を解雇することができる場合を限定し、厳格な要件を満たさなければ解雇はできないとしているのです

    たとえば、解雇理由として成績不良などが挙げられることがありますが、会社が期待する成績に達していないからといって、直ちに解雇をすることはできません。
    労働者の落ち度の程度、会社が被った損害の重大性、代替手段の有無などを考慮して解雇の正当性が判断されることになります。

    したがって、解雇の際に会社側から納得できるような理由が示されない場合には、まさに不当解雇であり、無効の可能性があるでしょう。

  2. (2)解雇予告または解雇予告手当の支払い

    会社が労働者を解雇する場合には、少なくとも解雇日の30日前までに解雇の予告をする必要があります。会社が解雇日の30日前までに解雇予告を行わない場合には、解雇予告期間に満たない日数に相当する平均賃金の支払いをしなければなりません
    これを「解雇予告手当」といいます。

    たとえば、解雇日の10日前に解雇予告をした場合には、解雇予告期間が20日間不足することになりますので、20日間に相当する平均賃金の支払いが必要になります。

  3. (3)不当解雇を疑った場合の注意点

    会社による不当解雇を疑った場合には、以下の点に注意が必要です。

    ① 退職届や退職合意書にサインしないこと
    会社から解雇を言い渡されてしまうと、自暴自棄になってしまい会社の指示に従って退職届の提出や退職合意書へのサインをしてしまうことがあります。

    このような対応をしてしまうと、解雇ではなく退職と扱われてしまいますので、不当解雇であったとしても解雇の無効を争うことが極めて難しくなってしまいます。
    そのため、不当解雇の可能性がある場合には、退職届の提出や退職合意書にはサインをしないようにしましょう

    ② 解雇理由証明書の交付請求をすること
    解雇された場合には、「どのような理由で解雇されたか」を確認するため、会社から解雇理由証明書の交付を受けるようにしましょう

    解雇理由証明書は、労働者から請求がなければ交付されない書面です。
    解雇通知を受けた場合には、請求を忘れないようにしてください。

3、地位確認請求の申し立て方法

裁判所に対し、地位確認請求を行う場合、労働審判または訴訟のいずれかの方法によって行います。
以下では、それぞれの方法について解説します。

  1. (1)労働審判による地位確認請求

    労働審判とは、労働者と事業者との間に生じた労働関係のトラブルを解決することを目指す法的手続きです。
    訴訟手続きとは異なり原則非公開であり、訴訟手続きに比べて迅速かつ柔軟に解決することができる、という特徴があります。

    労働審判は、労働審判官(裁判官)1人と労働審判員2人で組織される労働審判委員が手続きを行います。
    原則として3回以内の期日で審理を終えることになっていますので、迅速な解決が期待できます
    また、労働審判は、まずは話し合いによる解決を行い、それが難しい場合に労働審判を行うため、より事案に即した判断を行うことが可能です。

    労働審判手続きを利用する場合には、地方裁判所に労働審判の申立書を提出する必要があります。
    裁判所に労働審判の申立書を提出すると、申立日から原則40日以内に第1回目の期日が指定されます。当事者双方は、裁判所に指定された日時に裁判所に出頭し、審理を行います。
    当事者双方の話し合いがまとまった場合には、調停が成立し手続きは終了となります。一方で、話し合いがまとまらない場合には、労働審判委員会が事案の実情に即した判断を示します。
    労働審判に不服がある場合には、異議の申し立てをすることもできます。
    異議の申し立てがあった場合には、労働審判はその効力を失い、訴訟手続きに移行することになります。

  2. (2)訴訟による地位確認請求

    会社との話し合いで解雇の撤回が認められない場合や労働審判の内容に不服がある場合には、地位確認を求める訴訟に進むことになります

    訴訟を提起する場合には、裁判所に訴状を提出する必要があります。ただし、労働審判に意義がある場合には、裁判所に異議の申し立てを行うことで、自動的に訴訟へ移行します。
    裁判所に訴状が提出される又は労働審判に異議が申し立てられ事件が訴訟へ移行すると、第1回口頭弁論期日が決められ、被告である会社側に訴状および期日の呼び出し状が送達されます。
    訴状の送達を受けた会社側では、原告である労働者の主張する事実に反論がある場合には、答弁書という書面に反論事項をまとめて、裁判所に提出します。
    当事者双方は、裁判所によって決められた期日に裁判所に出頭し、第1回口頭弁論期日を行います。第1回口頭弁論期日では、当事者双方から提出された、訴状および答弁書の陳述が行われ、次回以降の主張立証方法について確認がなされた後、次回期日を定めて終了となります。
    2日目以降の期日でも、当事者双方から主張立証が繰り返され、争点整理を行ってきます。
    複雑な争点が含まれている事案では、解決までに1年以上を要することも少なくありません。

    最終的に、当事者の主張立証内容を踏まえて、裁判官が判決を言い渡します。
    解雇が無効である場合には、労働者の雇用契約上の地位が確認されることになりますので、職場への復帰が可能になるのです

4、和解という選択肢

地位確認請求を訴訟で行う場合には、解決までに長い期間を要することになります
そのため、訴訟で争っている間に労働者が解雇された会社とは別の会社に就職が決まってしまうということも少なくありません。

そうすると、裁判で地位確認請求が認められたとしても、解雇された職場に復帰することは現実的ではなく、解雇を言い渡された日以降の未払い賃金がメインとなります。
実際の事例でも、解雇無効を裁判で争った会社に戻ることを希望する労働者は少なく、地位確認請求が認められたとしても自主退職する場合が多いといえます。

そのため、長期間訴訟で争うのではなく、訴訟の途中で和解をするという選択肢も検討する価値があります。
和解とは、当事者双方が譲歩して合意により紛争を解決する方法であり、裁判上の和解が成立した時点で裁判は終了となります。
訴訟における和解の時期としては、当事者双方からの主張立証がある程度出そろった段階で、裁判官から和解の打診がなされることがあります。その時点の裁判官の心証を踏まえた和解案が提示されますので、当事者双方が当該和解案に応じれば和解が成立となります。
少しでも有利な和解内容を獲得するためには、裁判官が労働者側に有利な心証を抱いてもらうための主張立証が必要になりますし、和解交渉も重要です
したがって、地位確認請求を行う場合には、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。

5、まとめ

会社から不当解雇をされた疑いがある場合には、地位確認請求によって解雇の無効を争うことが可能です。
もっとも、地位確認請求をする場合には、労働審判や訴訟といった裁判手続きを行わなければなりませんので、知識や経験のない方では適切に対応することが難しいといえます

不当解雇を争う場合には、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
神戸市や近隣市町村にお住まいで、解雇に関する問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスまでお気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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