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離婚後300日以内に元夫とは別の男性の子どもを出産! 戸籍はどうなる?

2020年12月03日
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離婚後300日以内に元夫とは別の男性の子どもを出産! 戸籍はどうなる?

第96回神戸市統計書によりますと、平成30年、神戸市内では7145件の婚姻件数があり、それと同時に2598件が離婚しています。
結婚・離婚において当事者が抱える悩みは実にさまざまなものがあります。なかには、離婚前または離婚後に新しいパートナーとの間に命を授かり、出産を控えている方もいるでしょう。
しかし、離婚前後に出産するときは、いわゆる「離婚後300日問題」に注意する必要があります。民法に定められた規定により、離婚と出産のタイミングによっては生まれた子どもが新しいパートナーの子どもとしてではなく、別れた元夫の子どもとされてしまう可能性があるのです。

そこで本コラムでは、離婚後300日問題を中心に、生まれた子どもが元夫の子どもではなく新しいパートナーの子ども認められるためのプロセスについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、離婚後300日問題とは?

まずは、離婚後300日以内の出産で、どのような問題が生じるのかを確認しておきましょう。

  1. (1)離婚と出産の関係

    通常、子どもが生まれると両親が市町村役場に出生の届け出を提出・受理され、子どもは夫婦のうち夫を父親、妻を母親として戸籍に記載されます。
    では、子どもが生まれる前に夫婦が離婚した場合はどうなるのでしょうか。

    出産したのが離婚後300日以内だった場合は、民法第772条の規定により、その子どもは別れた夫との子どもであると推定されます。したがって、出生届を提出すると、別れた夫が法律上の父親として戸籍に登録されることになります。

    ここで問題になるのが、生まれた子どもの父親が、離婚した元夫とは異なる男性だった場合です。
    市区町村の戸籍窓口では、子どもの血縁上の父親を確認するすべはありません。そのため、たとえ血縁上の父親を記載した出生届を提出したとしても受理はされず、元夫を父親とする出生届の提出を求められます。

    これが、「離婚後300日問題」といわれるものです。離婚後300日問題は、戸籍上の扱いを回避するために子どもの出生届を出さず、子どもが無戸籍になってしまうという「無戸籍児問題」にもつながっています。

  2. (2)無戸籍児に生じ得る問題点

    無戸籍児問題とは、親などが子どもの出生の届出をしないために、その子どもの戸籍がつくられないという問題です。

    無戸籍児あることでもっともデメリットを被るのは、親ではなく子どもです。無戸籍のままでは、十分な行政サービスを受けられないだけではなく、運転免許証の取得や選挙権の行使、銀行口座の開設ができないなど、社会生活を送ることが困難な状況に置かれてしまうことになります。

2、法律上における父親の考え方

離婚後300日問題という事態が起こり得るのかを理解するためには、法律上における父親の考え方について、理解しておく必要があります。

婚姻関係にある男女の間で懐胎(妊娠)し、出生した子どものことを「嫡出子」といいます。嫡出子と母親の間における血縁上の母子関係は、分娩(ぶんべん)の事実から明らかであるため、母親は無条件に戸籍上の母親とされます。
しかし、父親についてはその限りではありません。そこで民法第772条において、次のように定められています。

  • 婚姻期間中に妻が妊娠した子どもは夫の子どもでもあると推定する
  • 法的に婚姻関係が成立した日から200日を経過したあと、または離婚が成立してから300日以内に生まれた子どもについては、婚姻期間中に妊娠したものと推定する


なお、子どもが嫡出子と推定される場合であっても、たとえば夫が長期間海外に赴任していた、あるいは行方不明であるというように、明らかに夫の子どもではないことを証明できる場合は、子どもに嫡出子としての推定は及びません。このような子どものことを、「推定されない嫡出子」といいます。

3、離婚後300日以内に出産した場合にとるべき対応

では、離婚後300日以内に子どもを出産した場合、別れた夫を父として戸籍に登録する、または出生届を出さない、という選択肢しかないのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

  1. (1)別れた夫に否認してもらう

    民法第774条の規定により、夫は生まれた子どもが明らかに自分の子どもではない場合、嫡出の否認することができます。

    嫡出の否認する場合は、調停の申立てをして調停がまとまらなければ訴訟を提起する必要がありますが、大きな問題点としては、嫡出否認の訴えは夫でないとできないという点です。つまり、まずは別れた夫に対して嫡出否認の調停に合意してもらえるように交渉する必要があります。

    また、民法第777条の規定により、嫡出否認の訴えは「夫が子どもの出生を知ったときから1年以内に提起」しなければならないと規定されているので注意が必要です。

    別れた夫が協力してくれ、嫡出否認の手続きを行うことができれば、別れた夫との親子関係は否定されることになります。その後、実父が認知をすれば、戸籍上も実父が父親として登録されます。

  2. (2)親子関係不存在確認調停を申し立てる

    別れた夫の子どもということを否定するには、前述した嫡出否認の手続きを行うのが原則です。ただし、別居をしていた場合や長期の海外出張や海外赴任だった場合など、別れた夫との子どもを妊娠する可能性が客観的にみてもない場合、子どもは「推定されない嫡出子」となるため、「親子関係不存在確認調停」を申し立てることが可能です。

    親子関係不存在確認調停は、母親でも申し立てることができ、期限の定めもありません。別れた夫と子どもに親子関係がないという事実について、当事者同士が合意できれば、家庭裁判所の調査を経たうえで、合意にしたがった審判がなされます。

    仮に、調停で合意が成立しなければ、親子関係不存在確認の訴えを提起することが必要となります。DNA鑑定等などを通じて、父と子の親子関係が存在しないことを証明することが必要となります。

  3. (3)実父に認知してもらう

    「推定されない嫡出子」である場合は、実父を相手に認知調停を申し立てる方法も検討できます。実父が認知することで、子どもが生まれたときにさかのぼって法律上の親子関係が生じることになります。
    認知調停は、子ども、子どもの直系卑属、または母親などの法定代理人が申し立てることができます。

    認知調停で合意が成立しなければ、認知の訴えの提起が必要です。DNA鑑定等などを通じて、父と子との親子関係が立証できれば、認知の訴えが認められることとなります。

  4. (4)離婚後に妊娠したことが明らかな場合

    離婚後に妊娠したことが明らかな場合については、推定される懐胎の時期および、時期を算出した根拠について記載した「懐胎時期に関する証明書」の作成を医師に依頼します。

    「懐胎時期に関する証明書」を出生届に添付することで、婚姻の解消、または取り消し後300日に以内に生まれた子どもであっても、嫡出の推定は及びません。つまり、調停などを申し立てる必要はなく、新しいパートナーとの間に誕生した子どもであることが認められます。

4、出生届をすぐに提出できないときに知っておくべきこと

出生届が提出されなければ、子どもは無戸籍の状態になってしまいます。また、その問題を回避するために調停などを申し立てたとしても、状況によっては解決まで時間がかかる可能性も考えられます。

戸籍がなければ、さまざまな点で不利益を被ることは避けられません。しかし、国民健康保険証の取得や子どもの医療費の一部助成など一定のサービスを受けることができる可能性はあります。また、小中学校への入学も可能です。ただし、各自治体によって対応は異なるため、お住まいの地域の市役所や町役場の窓口へ問い合わせると良いでしょう。

なお、住民基本台帳法の一部を改正する法律の施行に伴い、出生届が提出されていない場合でも、嫡出否認の手続きや、親子関係不存在確認調停などの調停を申し立てていることを証明できるなど一定の要件を満たせば、住民票を先行して作成することができます。
これらについても、自治体によって対応や必要な手続きが異なるため、調停の申し立てなどと平行して、確認を進めておくことをおすすめします。

5、まとめ

離婚後300日以内に出産した場合、たとえ新しいパートナーとの間に授かった子どもだとしても、法律上は別れた夫との子どもとして扱われてしまいます。しかし、出生届を出さなければ、子どもは戸籍がない状況になり人生に大きな不利益を被ることになってしまうでしょう。
少しでも早く戸籍を作成するためにも、早急に対応することが必要ですが、別れた夫や実父が絡む問題のため、感情的にもなりやすく、当事者同士ではスムーズに話し合いが進まない恐れがあります。そのため、離婚後300日問題にお悩みの場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。

ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスでは、離婚や男女問題に関する、さまざまなお悩みのご相談を承っております。法的なアドバイスはもちろんのこと、あなたの代理人として最善の結果になるよう、最後まで徹底的にサポートします。
まずは、ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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