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卒婚と離婚の違い|注意点は? 法的な手続きは必要? 弁護士が解説

2021年10月12日
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卒婚と離婚の違い|注意点は? 法的な手続きは必要? 弁護士が解説

兵庫県が公表している令和元年度の人口動態調査によると、令和元年における兵庫県内全体の離婚件数は9143件で、神戸市内に絞ると2610件でした。神戸市は人口の多い都市であるため、離婚件数や婚姻件数が多くなる傾向がありますが、兵庫県全体の離婚件数うち約29%は、神戸市だったということになります。

近年、熟年層の夫婦の新しい形として「卒婚」という生活形態が注目されています。芸能人が卒婚を公表するなどしたこともきっかけとなり、一般的にも認知されるようになっています。

しかし、安易に卒婚を選択するのは得策とはいえません。卒婚と離婚は、どのような点において違いがあるのか、そして注意するべき点について、しっかりと理解を深めたうえで検討することが大切です。

本コラムでは、卒婚と離婚の違いについて、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、卒婚と離婚の違い

卒婚と離婚にはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、卒婚と離婚の違いについて説明します。

  1. (1)卒婚とは

    「卒婚」とは明確な定義はありませんが、一般に、子どもが独立して定年を迎えるなどした熟年夫婦が、婚姻関係を持続したままお互い自由に生活をしていくライフスタイルのことをさすとされています。お互いを尊重し合いながら自由な人生を歩んでいくことになるので、たとえば別居をしていたとしても、ときどき食事を共にするといったケースや、月の半分程度を別居にするなど、さまざまな生活形態を選択することができます。

    子どもが独立して、夫が定年退職を迎えると、夫婦で過ごす時間が増えることになります。夫が定年退職したことで、一緒に過ごす時間が急に増えることになるのはもちろん、それまでの生活リズムは大きく崩れることになります。お互いに歩み寄ることや調整ができなければ、何かしらの不満を抱くようになることも予想され、結果として離婚に至ることもあるでしょう。
    「卒婚」は、お互いの生活スタイルを尊重しながら、夫婦が別々に生活をすることによって、熟年離婚を回避しながら円満な結婚生活を可能にする手段として、受け入れられていると考えられます。

  2. (2)離婚との違い

    離婚とは、夫婦が法律上の婚姻関係を解消することをいいます。つまり、離婚と卒婚との違いは、法的な婚姻関係を解消するかどうかという点にあります。
    卒婚は、円満な夫婦生活の延長線上にあるので、夫婦の婚姻関係は継続することになります。これに対して、離婚をした場合には戸籍上も他人になります。たとえば、お互いの生活費を負担する義務がなくなる、配偶者が死亡した場合の相続権がなくなるといった点があげられます。

2、卒婚するときにおさえておきたい注意点

卒婚は離婚とは異なり、法的な婚姻関係を解消するものではありません。そのため、卒婚を検討している方は、次の点に注意をする必要があります。

  1. (1)配偶者以外の人と性的な関係を持つと不貞行為になり得る

    卒婚によって、別々に生活をすることになれば、外見上は離婚をしたように見えるかもしれません。しかし、前述したように、卒婚の場合は夫婦の法的な婚姻関係が解消されたわけではありません。そのため、お互いの生活を尊重するとしても、配偶者以外の人と肉体関係を持った場合には不貞行為に該当するため、慰謝料を請求されるリスクがあります。

    また、不貞行為は法律上の離婚事由とされていますので、最悪のケースではそのまま離婚という結果になる可能性もあります。

  2. (2)卒婚を選択する経済的余裕があるかを検討

    卒婚をしたとしても、法律上は依然として夫婦ですので、お互いに生活費を分担する義務は失われません。どのように生活費を分配するのか、あらかじめしっかりと検討しておかなければ、後々トラブルになるおそれもあります。
    また、卒婚によって別居をすることになった場合には、家賃や光熱費などがこれまでの2倍程度かかることになります。同居だとしても、各自の食費や交際費などが、これまでよりはかさむ可能性が高くなるでしょう。そのため、経済的に卒婚をする余裕があるのかを十分に検討するべきといえるでしょう。

  3. (3)長期間の別居によって離婚のリスクが生じる

    円満な夫婦関係を続けるために卒婚を選択したにもかかわらず、別居後にお互いに連絡もとりあわなくなれば、婚姻関係を継続することに疑問を抱く可能性があります。お互いに別々の生活を送る中で、配偶者以外に好きな人ができてしまい、卒婚を選択したことで離婚につながるということもあります。
    また、長期間の別居は、婚姻関係の破綻を基礎づける事情となりますので、離婚裁判に発展した場合、離婚をしたくないと考える側にとっては不利な事情となります

    そのため、卒婚を選択する場合には、単なる別居ではなく、卒婚を理由とする別居であることを書面などに明確に残しておくことをおすすめします。あわせて、別居後も定期的に連絡をとりあうなどして、夫婦の交流を維持することが望ましいといえるでしょう。

3、卒婚するにあたっての準備

では、卒婚を選択するにあたっては、どのような準備をしておくべきなのでしょうか。

  1. (1)家族に相談をする

    卒婚をするかどうかは、夫婦が自由に決めることができる事柄ですので、夫婦以外の家族から同意を得る必要はありません。
    しかし、卒婚は外見上、離婚と変わらないため、夫婦だけで卒婚を取り決めてしまうと子どもや親族から誤解をされるおそれがあり、無用な心配を抱かせることになります。そのため、卒婚をすることになった場合には、家族にもその旨を相談し、理解を得ておくことが大切です。

  2. (2)生活費の取り決め

    お互いの生活を尊重しながら別居を選択したにもかかわらず、経済的に余裕がない状態では、卒婚後のライフスタイルを満喫することなどできないでしょう。そのため、前述したように卒婚後の生活費の負担をどのようにするかは、卒婚をする前に夫婦でよく話し合うようにしましょう。

  3. (3)介護の負担

    老後の介護は、熟年夫婦が抱える大きな問題ともいえます。お互いが元気なうちは、別々に生活をしていくこともできますが、どちらかが病気になったり介護が必要な状態になったりした場合には、ひとりでは生活をしていくことは難しくなります。そのような事態も想定し、あらかじめ取り決めをするなど話し合っておくべきでしょう。

  4. (4)婚外恋愛についての合意

    卒婚をしたとしても、自由に恋愛をすることができるわけではありません。前述したように、配偶者以外の人と肉体関係を持った場合には、不貞行為に該当することになります。

    卒婚をするにあたって、婚外恋愛を認めるかどうかをあらかじめ取り決めておくことによって、仮に配偶者以外の人と恋愛関係になったとしても、不貞をめぐるトラブルを回避するできる場合があります。もっとも、このような合意が無効とされる可能性も否定できず、婚外恋愛は一定のリスクを伴うものであることを理解しておく必要があります

4、取り決めた内容を契約書にしたほうが良い理由

卒婚をするにあたって取り決めた内容については、契約書などの書面にしておくことをおすすめします。

  1. (1)卒婚であることを客観的に証明できる

    卒婚による別居なのか、婚姻関係が破綻した結果による別居なのかは、当事者の口頭での合意だけでは客観的に判断することができません。
    卒婚であるという認識でいたにもかかわらず、長期間の別居を理由に離婚を求められた場合には、婚姻関係が破綻していたとして、裁判上の離婚が認められるリスクもあります。そのような事態にならないよう、客観的に卒婚であることを証明することができる契約書を作成しておくと安心です。

  2. (2)夫婦の取り決め内容を明確にすることができる

    卒婚をする際には、別居後の生活費の負担、将来の介護の負担、卒婚をいつまで継続するかなど、さまざまな条件を取り決めることになります。
    お互いに納得して取り決めた内容であっても、口頭のみで合意をしていれば、後日双方の認識に食い違いが発生するおそれもあります。そのため、卒婚をする際の条件を契約書などの書面にしておくことで、内容を明確にすることができ、将来のトラブル防止に役立ちます。

5、まとめ

円満な夫婦関係を維持したまま、お互いが自由な生き方を選択する方法として生まれたのが卒婚という形です。しかし、卒婚は、離婚とは異なり法律上明確な定義のある手続きではありませんので、十分な取り決めをしておかなければ、思わぬ不利益を被る可能性があります。
将来のトラブルを防止して、円満な夫婦関係を継続するためにも、法的な注意点や契約書の作成などについて、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスでは、卒婚や離婚にまつわるご相談を受け付けております。経験豊富な弁護士が、ご事情をしっかりと伺ったうえで最適な対策案をアドバイスします。ぜひ、ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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