減額は可能なのか!?離婚で慰謝料請求された場合に支払う必要がないケース、または、減額できるケースと対処法

2018年05月09日
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減額は可能なのか!?離婚で慰謝料請求された場合に支払う必要がないケース、または、減額できるケースと対処法

「離婚時に、慰謝料請求をされて困っている」という方は、本当に支払わければいけないのか、また、妥当な請求金額なのかを法律の専門家である弁護士や司法書士などに確認することをおすすめします。
なぜなら、もし離婚慰謝料を請求されたとしても、法的な観点から判断すると、慰謝料を支払う必要がないケースや、妥当でない金額を請求されているケースがあるからです。

離婚の慰謝料は、相手方が、精神的苦痛を被ったとして請求しているもので、相手方の感情が先行してしまうことはよくあります。
そのため、相手方は、法外な金額を慰謝料として請求されていることもあり、その場合は、法律の専門家に依頼することで減額が可能なケースもあります。

また、一見するとこちらに非があるように思える場合であっても、慰謝料を支払わなくても良いケースもあります。

そこで、今回は離婚の慰謝料を支払わなければいけないケースと、支払わなくてもよいケース、そして減額する方法について解説いたします。

慰謝料請求の内容について

慰謝料請求の内容について

慰謝料と一言でいっても、詳しく内容などを理解していない方も多いと思います。そこで、まずは慰謝料請求の基本について理解していきましょう。

  1. (1)慰謝料とは

    慰謝料とは、相手方の行為によって、精神的損害を被った人に支払われる賠償金のことです。離婚の場合は、不貞やDVなどの行為があった場合に被害を受けた妻(夫)が、配偶者や浮気相手に請求することができます。浮気などの行為があった場合に、「その行為自体に傷ついた・傷つけられた」という気持ちに対するものだけではなく、離婚の直接の原因となった場合には、「婚姻関係を破綻させた」という理由で請求することもできます。

    もっとも、性格の不一致等で離婚を決意した場合など、配偶者のどちらかが悪いと言い切れない場合には、離婚に伴って慰謝料請求が認められない場合が多いです。

    つまり、離婚の場合は必ず慰謝料が請求できるわけではないことを理解しておきましょう。

  2. (2)「請求されたら終わり?」ではない

    相手から慰謝料請求を受けたら、絶対に支払わなければいけないのでしょうか。

    実際に慰謝料を請求された場合には、何を理由に損害賠償を請求されているのかという基本的なことを確認してください。浮気や不倫が原因であって、その事実を自分でも認めている場合は、それに対して責任を求められる場合があります。
    しかし、「不倫があったと誤解されている」だけという事実無根の場合には、そもそも慰謝料を支払う必要がないかもしれません。
    また、ダブル不倫(W不倫)などで双方に不貞行為を行った者双方に責任がある場合、示談交渉などにより、相手方が損害賠償請求自体を取り下げることもあります。
    話し合いにより減額を求めることができる場合が多いことも事実です。

    ですので、請求されたら必ず提示された請求額を支払わなければいけないということはありません。実際に自分に責任があるのかを検討してから、慰謝料額が適切かなどを判断していきましょう。

2、支払わなければならないケース

支払わなければならないケース

離婚に伴って慰謝料を支払わなければいけない主な事情についてご説明いたします。
支払わなければいけない事情に、ご自身が当てはまってしまった場合は、減額の可能性を考えていきます。減額については、「3、支払わなくても良い・減額の可能性があるケース」と「4、減額にしてもらうための3つのポイント」にて、詳しく解説します。
まずは、どんなケースで慰謝料を支払わなければいけないのかを見ていきましょう。

  1. (1)不貞行為(浮気、不倫)

    不貞行為(民法770条1項1号)とは、婚姻関係継続中に、配偶者以外と自由な意思に基づいて性的関係を結ぶことを指します。不貞行為に基づく慰謝料請求は、法律上の婚姻関係がある場合にのみ認められると考えられがちですが、事実婚のように法律上の婚姻関係と同じような生活(内縁関係)を送っている場合でも請求することができます。ただし、単なる同棲の場合(婚姻の意思なしのケース)は、内縁関係が認められない場合が多いと考えられます。

    不貞行為は、原則として、実際に肉体関係を持ったということを指しますが、その証拠としては、配偶者以外の人とラブホテルに入ったところの写真があるというだけでも、「不貞行為はあった」と裁判所等に認定される場合が多いです。
    なお、肉体関係はなくとも、繰り返し浮気相手とデートやキスを行い、それが原因で婚姻関係が破綻した場合は、その行為自体が不貞行為ではないものの慰謝料請求が認められる可能性があり、これを認めた裁判例も存在します。

  2. (2)身体的、精神的な暴力(モラハラ・DV)

    身体的・精神的暴力があったというケースです。

    いわゆる家庭内暴力(DV)があった場合、慰謝料請求が認められることがあります。しかし、「お互い言い合いをしてしまったときに一度だけ平手打ちをした」というようなケース等、暴行に至る事情、部位、負傷の程度、その後の対応等によっては、慰謝料が認められない場合もあります。ただし、継続的に暴力行為があった、例えば一週間のうちに数回程度暴力を振るうことがあった場合や暴行に至る経緯、暴行の程度等によっては、回数が少なくても、慰謝料が認められる場合があります。
    精神的な暴力も、慰謝料請求の対象となり得ます。
    モラハラ行為とは、精神的に配偶者を追い詰め傷つけるような言動を指します。
    たとえば、「お前はバカか」「何もできない人間だな」「そんなことも知らないのか」など、相手をおとしめ、傷つける言動のことです。
    直接暴力は振るっていなくとも、椅子を蹴ったり家具を壊したりすることで相手に恐怖心を与えることもモラハラに含まれる可能性があります。配偶者を一日中ストーキングしたり、監視したりする行為も含まれる可能性があります。
    もっとも、こちらの場合も、一度言ってしまっただけというのでは、慰謝料請求が認められるのは難しいと考えられます。やはり、継続的かつ日常的にモラハラを行っていた場合の方が、慰謝料が認められやすいと言えます。

    このように、身体的暴力だけではなく、精神的暴力があった場合にも責任が発生し、慰謝料は支払わなければならない場合があります。

  3. (3)悪意の遺棄

    悪意の遺棄(民法770条1項2号)とは、正当な理由なく同居や協力、扶助、あるいは、婚姻費用分担の義務を怠ることと定義されています。簡単に言うと、家に帰ってこなかったり、生活費を渡さなかったりすることです。

    これら以外にも、不倫相手の家に住んでいる、連絡が取れなくなる、実家に帰ったままである、健康であるのに働かない、なども「悪意の遺棄」に含まれます。夫婦共働きで配偶者が家事を手伝うことを求めているのにもかかわらず、一切協力しないなども場合によっては「悪意の遺棄」と認定される可能性があります。

    以上が、離婚に伴い慰謝料請求を受けた場合に支払いをしなければいけない可能性がある主なケースとなります。もっとも、個別ケースによって状況は異なるため、弁護士など法律の専門家に相談することを強くおすすめいたします。

3、支払わなくても良い・減額の可能性があるケース

支払わなくても良い・減額の可能性があるケース

離婚に伴い慰謝料を支払わなくてもよいケースを見ていきましょう。また、減額の可能性があるケースも同時に見ていくので、「支払わなければいけない」に該当した方もぜひ読んでみてください。

  1. (1)責任の所在が明確にできない場合

    性格の不一致、価値観の相違などの場合です。
    この様に、単に「性格が合わなかった」という理由で離婚する場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法第770条第1項第5号)があるとして離婚を求めることになりますが、このような事情の場合に、離婚に伴う慰謝料を裁判所に認めてもらうのはなかなか難しいです。

    性格が合わなかったという場合は、必ずしもどちらが悪いと判断することができません。この様に、責任の所在がはっきりしないケースでは、慰謝料請求が認められにくく、支払わなくてもよいという結果に終わることが多いです。

  2. (2)すでに時効が完成又は除斥期間が経過している場合

    不倫の慰謝料請求には、時効が存在します。不貞行為の事実および不倫相手の存在を知ってから三年間が経過すれば、時効が完成します。なお、不倫相手の顔は知っているけど、名前や住所までは分からないといった場合は、三年間の時効期間のカウントは開始されません。

    また、不貞行為から二十年が経過すると、除斥期間の経過により、不貞の慰謝料請求権は自動的に消滅します。

    注意が必要なのは、「不貞行為の事実および不倫相手の存在を知ってから三年を経過」したからといって、自動的に慰謝料請求権は消滅しないということです。慰謝料請求される側が、「もう三年経過したので、慰謝料は支払いません」と主張する必要があります。これを、時効の援用といいます。
    なお、不貞が原因となって婚姻関係が破たんし離婚に至った場合、不貞行為から時効期間が経過しており、きちんと時効を援用していたとしても、婚姻関係が破たんしたことについて、慰謝料が認められる場合がありますので、安心しきれるわけではありません。

  3. (3)不倫以前に、夫婦関係がすでに破綻していた場合

    不貞行為発覚以前に、夫婦関係が破綻しているというケースでも、慰謝料請求は認められにくいといえます。

    実際に、不倫が発覚する前、夫婦関係が破綻し別居していたというケースでは、そもそも守るべき婚姻共同生活がないことになります。この場合に、夫婦関係がすでに破綻しているものと判断されれば、慰謝料請求も認められない可能性が高いです。

    では、家庭内別居があった場合はどうでしょうか。
    これについては、ケースバイケースとなります。すでに別居があった場合に比べると、慰謝料を支払わなければいけない確率は高くなります。なぜなら、外からは夫婦関係が破綻していると判断しづらいからです。もっとも、夫婦生活が全くない場合や、一緒に住んでいるだけで生計は別にしているケースなどは、別居と同様に婚姻関係の破綻が認められることもあります。

    このように、不貞行為前に、婚姻関係が破綻していると認められる場合には、慰謝料は支払わなくてもよいケースとなります。また、破綻しているとまではいかずとも、それに近い状態があった場合は、減額の可能性があるでしょう。

  4. (4)請求理由を裏付ける証拠がない

    慰謝料を請求する場合、必ず証拠や根拠が必要となります。これは不貞行為に限りません。「不貞行為がありました。」「DVがありました。」という主張を行っても、客観的に証明できる事実がない限り、損害賠償が認められることはありません。
    そのため、仮に「支払わなければならないケース」に相手の主張内容が当てはまる場合でも、請求を理由づける根拠がない場合は、仮に裁判になったとしても、支払い義務が認められる可能性は低くなるといえます。

    以上が、「支払わなくてもよいケース・減額可能性があるケース」となります。なかなか判断がつきにくいと場合は、弁護士などの法律の専門家に相談することで自分のケースが「支払わなくてもよいケース」であるかを確認することを強くおすすめいたします。

4、減額してもらうための3つのポイント

減額してもらうための3つのポイント

減額の可能性があるケースについて、知っておくべき3つのポイントをご説明いたします。

  1. (1)「慰謝料請求額が相場から逸脱していないか」を確認

    慰謝料請求額を確認しましょう。過大な請求額である場合は、減額できる可能性が大きくなります。

    そこで気になるのが、慰謝料の相場ですよね。慰謝料の金額は、実はケースによって大きく変化します。不貞行為やDV、悪意の遺棄などの離婚理由に関することだけではなく、下記のような事情も考慮した上で、決定されます。

    • 婚姻期間の長さ
    • 経済的な状況
    • 子どもの有無 など

    不貞行為が継続的であった場合、慰謝料が高くなる事情となります。また、婚姻関係が数十年と長かった場合や、慰謝料を支払う側の収入が多い場合にも、慰謝料は高くなる事情になります。
    一般的な相場としては、50万円~300万円といわれており、かなり幅があることがわかると思います。
    慰謝料請求額についてはケースバイケースのため、実際にはいくらが妥当な金額であるのか、個々の事情を弁護士に相談し、その上で金額の妥当性を検討していくことが大切です。

  2. (2)「自分の支払い能力」に関する主張をしよう

    相手から高額な慰謝料を請求されても、収入が少ない場合などは支払うことが不可能です。請求する側としても、実際に支払ってもらえないよりは、現実的な額を望むはずです。そのため、経済的時事情を理由に、支払える範囲での請求に減額してもらうことをお願いしましょう。

    もっとも、高額な収入を得ているという場合は、この主張は通りません。収入が多く過大な慰謝料を請求されている場合には、慰謝料額の妥当性を検討した方がよいでしょう。

  3. (3)「不貞行為の継続性がないこと」を主張しよう

    不貞行為の事実があり、証拠もある場合は損害賠償をゼロにすることは難しいです。
    しかし、不貞行為の場合は継続的に続いた関係ほど、慰謝料が高くなります。不貞関係が長いほど、婚姻関係を破綻させる原因としては強くなることや配偶者の精神的損害も大きいと判断されるからです。逆に、一度のみの関係や、期間が短い場合、一度だけ風俗に行ってしまったという場合は、慰謝料の金額も低くなる可能性があります。また、配偶者が性交渉に応じてくれなかったなどの事実があれば、責任の度合いが軽減される場合もあります。

    このように、慰謝料請求を受け、支払わなくてはいけないケースの場合は減額の可能性がないかを検討しましょう。減額を主張する場合は、上記の3つのポイントを押さえてみてください。

5、減額ができなかった場合、他に方法はある?

減額ができなかった場合、他に方法はある?

減額できそうな条件をいくつかあげましたが、それでも高額になりそうな場合や、減額がされなかった場合は、どのようにして対応すべきなのでしょうか。

  1. (1)慰謝料は一括払いが原則

    慰謝料は一括払いが原則です。そのため、慰謝料を支払うときは、大きな支出が一度に必要になってしまいます。全てを一括で支払うとなると、経済的負担が大きくなってしまいますので、分割払いにしてもらえないか交渉してみましょう。自分自身の経済的状況を伝え、計画通りに支払うことを約束すれば、分割にしてもらえる可能性もあります。

  2. (2)法律事務所へ相談する

    慰謝料を請求された時点で、法律事務所などに相談することも大切です。早めに相談することで、慰謝料が減額できる方法を探せる可能性があります。自分では気がついていない点を主張してもらえるかもしれません。時間が経てば経つほど、問題はこじれていきます。早めに弁護士に相談することで、早期解決を目指しましょう。

6、まとめ

まとめ

離婚の際に、慰謝料請求を受けてしまい困っているという方は、一度、法律の専門家に相談してみてください。慰謝料相場のお話しでもご説明しましたが、個別ケースによって妥当な慰謝料の額は大きく変化します。自分が請求されている請求額が妥当なのかだけでも、弁護士に相談することで安心できるはずです。自分一人で調べてもわからないことは、法律の専門家に相談し助言をえることで解決できます。少しでも早く今ある問題を解決することが大切です。ベリーベスト法律事務所神戸オフィスでは、離婚に関するお悩みを解決できるように弁護士による無料相談を行っています。お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています