【前編】整形が原因で離婚は可能? 法律の離婚事由にあたるのかを解説
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若い頃に軽い気持ちでやった整形。夫には内緒にしていたものの、昔の写真からバレてしまい険悪ムードに。ついに夫は「離婚したい」と言い出して……。
整形は昔に比べて珍しいことではなくなりました。プチ整形などは比較的安い値段でできるため、若い世代にも広がっています。神戸市内にも多数の美容整形外科があります。
ところがそれを内緒にしたまま結婚し、バレて離婚を突きつけられるというケースが起きています。ですが、そもそも整形を理由に離婚することは、法律で認められているのでしょうか? 慰謝料を求められたら支払わなければいけないのでしょうか? ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が詳しく解説します。
1、整形を理由に離婚することは可能?
今や整形は身近なものになりつつあります。ですが、整形した事実をオープンすることをためらう方も多く、夫に秘密にしている方もいるでしょう。では、それがバレてしまった場合、離婚を切り出されたら受け入れなければいけないのでしょうか?
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(1)離婚自体は可能
結婚前の整形を理由に離婚することは可能です。ただし、あくまで夫婦が合意した場合の話です。
お互いが離婚に納得した場合には、役所に離婚届を提出すれば離婚できます。これは整形以外にも性格の不一致や価値観の相違、不倫などが理由の場合でも同じことです。
離婚の手続き自体は、比較的簡単です。離婚届を出す際に、理由は特に問われません。どんな理由であろうと、お互いが合意して署名すれば離婚することはできます。 -
(2)法律の離婚事由にはあたらない
相手が整形を理由に離婚を言い出したとしても、自分は離婚したくないということもあるでしょう。
夫婦での話し合いがうまくいかない場合には、調停を経て最終的に離婚裁判に発展する可能性があります。
ただし、離婚裁判で最終的に離婚を認めるとの判決を得るには、法律で定められた離婚事由のうちいずれかがなければいけません。
民法第770条では、離婚事由として次の5つを定めています。- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
整形はこの5つに該当しないため、法定の離婚事由にはあたりません。つまり離婚裁判となったとしても、整形をしていたことだけで離婚が認められることはないのです。
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(3)整形がきっかけで問題が起きれば離婚も
整形自体は離婚事由にはあたりませんが、整形の事実を隠していたことをきっかけに夫婦の信頼関係が崩れてしてしまうおそれはあります。
その結果として長期間の別居になってしまった場合や、整形で抱えた多額の借金で生活に支障がでてしまった場合などは、離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたる可能性があります。
「他にも嘘をついているかもしれない」と思えば、どんどんと信用は失われ、相手の頭に離婚という文字がちらついてくるかもしれません。崩れてしまった信頼関係を元に戻すことができなければ、離婚は現実味を帯びてきます。
整形自体は法律で認められた離婚事由ではありませんが、その影響が波及して離婚につながる可能性は否定できないのです。
2、整形を隠していたことを理由に慰謝料を請求される可能性はある?
整形を隠していたことを知ると、相手は憤慨し「慰謝料を払え!」と言ってくるかもしれません。その場合には支払わなければいけないのでしょうか?
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(1)整形だけでは慰謝料の請求は認められない
慰謝料とは、精神的に受けたダメージに対する賠償のことです。交通事故や不倫など、さまざまなケースで被害を受けた場合に請求が認められます。
整形の事実を隠していたことについては、通常、この慰謝料の支払いは認められません。
結婚前に整形をしていたのであれば、整形後の姿を知ったうえで結婚を決めたはずです。そのため、それが整形によるものだったとしても、結婚生活が続けられないことにはならないでしょう。プチ整形程度であれば、見た目の変化も大きくないはずです。
また「整形していないこと」を結婚の条件にしていることも、まずないでしょう。
たとえ婚約当時にそれが発覚していたとしても、容姿が婚約破棄の正当な理由として認められることは通常なく、慰謝料の請求も基本的には認められません。 -
(2)整形が原因で問題が起きれば慰謝料も
整形の事実が判明したことだけで、基本的には慰謝料が認められることはありませんが、整形が夫婦生活に大きな影響を及ぼした場合には、請求が認められる可能性はあります。
たとえば整形のために夫の貯金や夫婦の生活費をつぎ込んで生活が破たんした、整形の事を非難され精神的に不安定になって不倫してしまった、といった場合には、精神的苦痛を受けたとして相手から慰謝料を請求される可能性があります。
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