【後編】離婚の際に会社名義の資産は財産分与の対象になる? 請求方法とは?

2019年04月26日
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【後編】離婚の際に会社名義の資産は財産分与の対象になる? 請求方法とは?

前編では、会社名義の資産を財産分与請求できるのか、会社名義で財産分与の対象となる資産やならない資産について解説いたしました。
後編では、財産分与を行う手順や財産分与でもめた場合の対処方法について、神戸オフィスの弁護士が解説いたします。

3、財産分与はいつ、どうやって決める? 割合は?

夫や妻が「財産分与はなくていい」と言えば、財産分与なしで離婚できることもあります。ですが本来は後々のもめごとを避けるためにも、適切なタイミングできちんと決めておくことが大事です。

  1. (1)財産分与の割合

    財産分与の割合は、原則として2分の1です。

    これは妻が専業主婦である場合にも、夫婦に収入の格差がある場合にも、変わりません。
    夫だけが収入を得ていたとしても、その財産形成には妻が家庭を支えるという寄与があったととらえるのです。そのため特段の事情がない限りは、財産分与の割合は半分ずつということになります。

    ただし、夫が収入が多い職種で、かつ、家事も行っていたような場合などでは、形成された財産の大きさに対して、妻の寄与度が低いと評価されることもあり、そのような場合には、妻の分与の割合が2分の1よりも低くなることがあります。

  2. (2)財産分与を決める時期

    財産分与は、離婚までに決めておきましょう。

    離婚後にも請求することができますが、相手が話し合いに応じてくれなかったり、財産がすでに処分されてしまったりするケースもあります。

    また離婚後に請求するために裁判所の関与を求める場合には「離婚から2年以内」という期限があります。
    そのため慰謝料や養育費などとともに、離婚の際に一緒に決めてしまうのがベストと言えます。

  3. (3)財産分与の進め方

    財産分与の割合には2分の1という原則がありますが、お互いが納得できるのであれば割合はどのようにしても問題ありません。もちろん分与なしというケースもあります。

    分与をする際には、まずは夫婦の共有財産を洗い出しましょう。
    会社名義のものでも事実上は個人名義のものと考えられる場合には対象となります。

    お互いに特定の内容で合意できた場合は、現金を分けたり不動産の名義変更をしたりするなど、具体的な分与の手続きを進めていきましょう。

    なお決めた内容については後に「言った・言わない」でもめないようにするため、公正証書にして残しておくことがおすすめです。

4、財産分与でもめたらどう決着をつける?

「会社名義の資産があるけれど、分与の対象となるか判断がつかない」ということも多いでしょう。また分与の対象や割合について相手と意見が合わず、争いになってしまうかもしれません。その場合はどのように決着をつけたらよいのでしょうか?

  1. (1)話し合いで決着がつかなければ調停へ

    離婚時の話し合いで財産分与について話がまとまれば、問題はありません。
    ですが離婚をするからにはすでに夫婦の関係が悪化していることが多く、そのうえお金が絡む問題のため、簡単には合意できないことが少なくありません。

    話し合いで決着できない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。
    調停では、調停委員を交えて解決に向けて話し合いを進めていきます。

    離婚前の場合は「夫婦関係調整調停」を利用することになり、財産分与以外にも養育費や慰謝料も合わせて話し合うことができます。

    調停は離婚後にも行うことができますが、その場合は「財産分与請求調停」となり、財産分与のみを扱うことになります。

    調停が成立すれば調停調書が作成され、それに従って実際の財産分与を進めていくことになります。
    どちらか一方が調停案に同意しないなど調停が不成立となった場合には、不成立で終わるか裁判又は審判に移行します。

  2. (2)最終的には裁判

    離婚前に調停で解決できなかった場合には、離婚裁判を起こすことになります。
    裁判で離婚と財産分与についてお互いに主張し、和解または判決による解決を目指します。

    なお財産分与のみを扱う裁判は起こすことができません。

  3. (3)財産確認の段階から弁護士に相談を

    財産分与をする際に非常に大変なのが、分与の対象となる財産の範囲を確認することです。

    特に会社名義の資産がある場合、それが事実上は個人名義のものと考えられるのかどうか、分与の対象となるのかどうかを、一つ一つ確認していかなければいけません。
    グレーゾーンのものも多く、この判断は簡単ではありません。

    また財産の洗い出しが不十分の場合、後から分与し忘れた財産や隠し財産が発覚して取り返しのつかないことになる可能性もあります。

    財産分与は時間と労力がかかり、法律の知識も必要となります。法律に詳しくない個人がやることは、かなり難しいと言えるでしょう。

    そのため財産分与の際には、財産の洗い出しの段階から弁護士に相談し、協力してもらうようにしましょう。

    離婚や財産の問題に詳しい弁護士であれば、会社名義か個人名義かの判断をしてくれるほか、分与の割合や方法を教えてくれます。

    相手との話し合いや調停についてもサポートしてくれるため、手続きがスムーズに進む可能性も高くなります。

5、まとめ

会社名義の資産の分与は判断が非常に難しい面があるうえに、資産額が多ければよりもめやすくなります。「会社名義は全て分与の対象外」と勘違いしていると、思いのほか財産分与として受ける金額が低くなってしまう可能性もあります。

相手のいいなりにならず、お互い納得してきちんと財産分与を行うためには、専門家の協力が不可欠です。
ベリーベスト法律事務所神戸オフィスでは、離婚に絡む財産分与のご相談をお受けしております。弁護士は難しい用語などを避け、わかりやすく説明しながら手続きをサポートいたします。お困りの際はまずは一度ご相談ください。
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