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偽装離婚で借金返済から逃げるのは違法? 罪に問われる可能性はある?

2020年03月31日
  • 借金問題
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偽装離婚で借金返済から逃げるのは違法? 罪に問われる可能性はある?

神戸市では、年間3000件前後の夫婦が離婚にいたっています。離婚を選択した夫婦にはさまざまな事情があったはずですが、なかには「借金を背負い、配偶者までもが責任を追及されないために」という理由で離婚にいたった夫婦もいるかもしれません。

夫婦の一方が多額の借金を負ってしまい、離婚を選択する方は実は少なくありません。
しかし中には、離婚届を提出して形式上は離婚したかたちをとりつつ、実質は夫婦としての関係を続ける「偽装離婚」をするケースも存在しています。
たとえば、夫が多額の借金を背負ってしまった場合、偽装離婚によって妻の責任は回避できるのでしょうか? 偽装離婚で借金の返済を免れるのは罪にならないのでしょうか?

本コラムでは、偽装離婚と借金問題を中心に、偽装離婚は犯罪になるのかなどについて神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、夫が借金を背負ってしまった! 妻にも返済義務はある?

個人的な浪費、事業の失敗などで夫が多額の借金を背負ってしまった場合、配偶者である妻が返済の責任を負うのでしょうか?

  1. (1)基本的に返済の義務はない

    男女が夫婦になった場合、さまざまな責任や生活に必要な費用を共同で負担することになります。これは、単純に夫婦関係におけるモラルとして当然のように感じられます。
    しかし、夫婦の一方が、自身の名義で借り入れを行った場合、その返済義務を負うのは、基本的に借り入れをした人自身です。夫婦だからと言って、配偶者の借金の返済をすべき法的な義務はありません。

    たとえば夫が多額の借金を背負い、債権者が妻に「配偶者なのだから返済しろ」と求めたとしても、基本的に妻には返済の責任はありません。
    借金は夫個人が契約したものであり、債務者はあくまでも夫になります。
    これは、妻が借金を背負ってしまった場合も同様です。

  2. (2)配偶者が責任を問われるケース

    背負った債務は、あくまでも契約をした本人のものです。
    ところが、例外的に配偶者にも債務を負う場合があります。

    ●配偶者が連帯保証人になっている場合
    連帯保証人は、債務者と同じく返済の責任を負います。たとえば、夫の借金の保証人が妻だった場合、夫の返済が不能になった時点で妻が債務を返済することになります。

    ●「日常家事債務」にあたる場合
    たとえ夫婦どちらか片方の名義でした借金であっても、借金の理由が生活に必要な支払いや物資購入などであれば「日常家事債務」にあたります。
    日常家事債務にあたる借金は、「夫婦が共同で使ったもの」とみなされるため、名義人にではない配偶者も返済義務を負わねばならない可能性があります。

    ●相続が発生した場合
    夫婦のどちらかが死亡して財産の相続が発生した場合、預貯金などの財産だけでなく債務も相続することになります。相続放棄をしない限り、故人の配偶者・子どもなどの相続人が借金を負うことになります。

2、偽装離婚すれば借金返済の責任から逃れられるのか?

借金返済の責任が家族に及んでしまわないために、「偽装離婚」という選択肢をとる方も存在しています。しかし、偽装離婚すれば本当に借金返済の責任から逃れられるのでしょうか。

  1. (1)偽装離婚って何?

    一般に、偽装離婚とは、法律上離婚しながらも、実態として、夫婦同然の生活を続けることと言われています。

    家族に借金返済の責任が及ぶのをおそれて、離婚しておくという場合のほか、次のような目的で離婚する場合も考えられます。

    • ひとり親家庭を偽って生活保護費や児童扶養手当てを受給するため
    • 公営住宅への入居や保育園への入所を優先的に受けるため
  2. (2)偽装離婚に効果はあるのか?

    一部の場合を除いて、夫の借金返済の責任が妻や家族に及ぶことはありません。
    つまり「家族に迷惑をかけたくない」といった理由のみで偽装離婚しても意味はありません。

    ただし、多額の借金を抱えながらも預貯金や不動産などの財産がある場合には、偽装離婚によって財産を配偶者の名義に移す、いわゆる「財産隠し」のために離婚を計画するケースもあります。
    一方の配偶者に多額の借金等がある場合、離婚時の財産分与として、財産を他方の配偶者へ譲渡すれば、譲渡した財産は他人名義の財産になったので、一方配偶者が借りた借金等についての債権は及ばないという考え方ですが、これも賢い選択だとはいえません。
    一時的に財産隠しが成功したとしても、偽装離婚を隠し続けることは簡単なことではありません。偽装離婚が発覚すれば「債権者の権利を害した」と評価される部分については、他方配偶者に分与された財産の返還を求められる、又は分与された財産の限度で一方配偶者の借金等の返済を求められる可能性があります。

3、偽装離婚は犯罪になるのか?

偽装離婚そのものに大きなメリットはなく、むしろリスクのほうが目立つ行為だといえます。しかし、リスクを冒してでも偽装離婚に踏み切りたいと考えるケースもあるでしょう。
では、偽装離婚をすること自体は罪に問われるものではないのでしょうか?

  1. (1)離婚そのものは罪にならない

    夫婦の離婚は「形式的意思で足りる」とされています。
    結婚には「夫婦として共同していく」という実質的な意思が必要ですが、離婚は双方が離婚届を提出するという形式的な意思さえあれば成立します。

    裁判所は、不正に生活保護費を受給する目的で離婚届を提出した事例について「離婚は有効」という考えをもっています(最高裁判所/昭和56年(オ)第1197号)。
    たとえ目的が不正なものであっても、夫婦双方が形式的にでも離婚に合意していれば、離婚そのものは法的に認められるため罪に問われることはありません。

  2. (2)詐欺破産罪に問われるおそれがある

    偽装離婚そのものは違法ではありませんが、偽装離婚によって財産を隠すといった行為にいたった場合、犯罪へと発展してしまう可能性があります。

    「これ以上は借金を返済できない」と考えて裁判所で破産手続きを申し立てた前後に、偽装離婚によって預貯金や不動産などの財産を隠した場合、破産法第265条第1項第2号に規定されている「債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為」に当たるとして「詐欺破産罪」に問われるおそれがあります。

    詐欺破産罪に問われた場合、「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはこれを併科」するという重い刑罰が科せられます。また、財産を処分する行為に手をかす、事情を知りながら財産を取得するといった行為をした側も、同様の罪に問われる可能性があります。

    偽装離婚による財産隠しは犯罪にあたり、多大なリスクを伴うため回避するべきでしょう。

4、偽装離婚する必要はない! 債務整理の方法

返済が難しいほどに借金が膨らんでしまった場合は偽造離婚ではなく、法律で認められた正規の方法によって解決することをおすすめします。
ここでは、債務整理の3つの方法について解説します。

  1. (1)任意整理

    任意整理とは「支払いすぎた利息分」と「将来支払う利息」をカットしてもらうことで、毎月の支払額を軽減する方法です。

    債権者である貸金業者との話し合いによって、現在の収入に応じた返済方法を検討できます。定期的な収入がありながらも、多重債務によって返済が苦しくなってしまった方に適した債務整理の方法です。
    裁判所を介した手続きではないので、周囲に知られることなく比較的容易に手続きが進むというメリットがあります。

  2. (2)個人再生

    個人再生とは、返済に向けた再生計画案を裁判所に提出し、これが認められると借金の総額に応じて100万円から500万円減額される制度です。残った借金は、原則として3年の間の分割払いとして返済していくことになります。

    個人再生は裁判所を介した手続きなので煩雑に感じる点もありますが、借金の額が大幅にカットされるうえに、再生計画案に従って返済すれば債務が完了するというメリットがあります。また、個人再生では持ち家などの財産を処分せずに手続きが進められる、手続き中も職業の制限を受けないなどの大きなメリットもあります。

    個人再生では、裁判所が認めた再生計画案を守って返済を続ける必要があるため、定期的に一定の収入が得られる方に向いています。

  3. (3)自己破産

    可能な限り資産を処分することで、借金の額をゼロにできるのが自己破産です。
    預貯金や持ち家などの不動産は処分して債権者への配当にあてることになりますが、返済不能にまで陥った多額の借金を返済する義務はなくなります。

    「すべての財産を処分しなくてはならない」という誤解がありますが、換金して20万円に満たない生活用具などは処分する必要がありません。自己破産によって、戸籍に破産の経歴が記載される、選挙権を失う、賃貸住宅から追い出されるなどの不安があるかもしれませんが、自己破産によってこれらの効果は生じず、これらはすべて誤解です。

    ただし、財産隠しが発覚すれば免責が認められず自己破産ができないおそれがあります。また、前述したように罪に問われる可能性も否定できません。
    偽装離婚による財産隠しといったリスクが高い選択をするのではなく、弁護士に相談して正規の手続きで自己破産を進めて、債務を整理することをおすすめします。

5、まとめ

いま「偽装離婚」を検討している方は、本当に離婚することに意味があるのかを考えてみましょう。
借金返済の責任が家族に及ばないためであれば、そもそも心配は無用です。手当てを受給したいため、財産を隠すためといった理由であれば、リスクが大きすぎるため控えるべきでしょう。
このように考えれば、偽装離婚にはメリットはありません。もし借金返済に困って偽装離婚という方法に考えがいたったのであれば、正規の債務整理によって問題解決を目指すほうが賢明です。

借金問題は相談しにくい事柄かもしれません。しかし、借金問題の対応実績が豊富な神戸オフィスの弁護士が、解決に向けて全力でサポートします。ひとりで悩まず、ぜひベリーベスト法律事務所 神戸オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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