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ソーシャルハラスメントが企業のリスクに? 企業がするべき対策とは

2019年11月29日
  • 労働問題
  • ソーシャルハラスメント
ソーシャルハラスメントが企業のリスクに? 企業がするべき対策とは

近年、さまざまなメディアで「職場でのハラスメント」についての特集が組まれています。
たとえば、女性上司から男性部下に対する逆セクハラ、上司から部下に対するパワハラのほか、社内で共有するためのLINEグループを作成し、特定の人を無視するなどケースはさまざまです。
企業側で、ホットラインを設けるなどの対応もはじまっていますが、神戸市をはじめ各自治体も、独自の対応を進めています。

本コラムでは、ソーシャルハラスメントとは、具体的にどのようなもので、何が問題になるのかについてベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、ソーシャルハラスメントとは

ネット社会で、友人や知人などと交流するために使うのがSNSです。SNSにはメッセージを送れる機能が付帯されているものも多く、ビジネス上でのやり取りをSNSで行うケースも少なくありません。しかし、使い方によってはトラブルのもとになるため、注意が必要です。

  1. (1)ソーシャルハラスメントとは

    ソーシャルハラスメントとは、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用した、職場の上司と部下等の上下関係を利用して行われる、嫌がらせ行為(ハラスメント)の総称です。今日では、TwitterやFacebook、LINEなどを中心にさまざまなSNSが流行しており、同僚や上司とつながってリアルでもオンラインでも交流するケースも増えています。

  2. (2)SNSの利用で仕事のオンとオフとの区別があいまいに

    最近では、FacebookやLINEを業務用連絡ツールとして使用する会社も増えてきました。それらのツールはプライベートでも使用するので、平日の夜間や土日にも業務連絡が入ってくると、仕事がプライベートに入り込んでくることになります。そうなることで、オンとオフの区別があいまいになり、「休日なのに休んだ気がしない」という問題も生じます。

  3. (3)フランスには「オフラインになる権利」がある

    フランスでは、平成28年5月に「オフラインになる権利(right to disconnect)」が法律により定められました。この法律により、従業員数が50名以上の会社に対し、従業員がメールチェックや送受信をしてはならない時間帯を、行動規範で定めるよう義務付けがされました。

    このオフラインになる権利ができた背景には、今日の日本と同様、スマートフォンやSNSの普及により、業務時間外にもメールやSNSのメッセージをチェックせざるを得なくなり、それが労働者にとって非常にストレスになっていることがありました。ただし、フランスでは、遵守しなかった企業に対する罰則はなく、具体的な行動規範についても各企業に委ねる形を取っています。

2、SNS上でのどのような行為が問題になるのか

では、具体的にSNS上のどのような行為が問題となるのでしょうか。

  1. (1)友達申請の承認等を強要する

    Facebookなどの承認制のSNSを利用している上司が、部下にSNSを利用しているかどうか尋ねた上で友達申請を行い、承認を強要してくるケースが問題となります。具体的に「承認しろ」と言われなくても、上司と部下という立場の違いから、上司から友達申請が来ると承認せざるを得なくなるのです。

  2. (2)部下の投稿内容をチェックする

    SNSで友達申請が承認されると、公開範囲が友達までに限定されている投稿も見られるようになります。すると、上司が投稿内容から勤務時間外に部下がどこで何をしているかをチェックするようになるので、部下はプライベートなことが投稿できなくなります。中には、うつ病で休職中の社員が近所の飲食店で食事をしたとの投稿を目にして、「外出できるなら会社へ来い」と投稿する上司もいて、問題になっています。

  3. (3)「いいね」やコメントを強要する

    また、SNSで友達としてつながった部下に対し、自分の投稿に「いいね」やコメントを強要するのも問題です。SNSは本来自由に利用されるべきもののはずですが、そのように強要されることで業務時間外にも上司に気を使わなければならず、SNSが使いにくくなります。

  4. (4)業務時間外にメッセージを送る

    さらに、上司が部下に対し、業務時間外にも個別にSNSでメッセージを送ってくるケースも少なくありません。FacebookのメッセンジャーやLINEはメッセージを開くと「既読」がついてしまうので、たとえ、急ぎの要件ではないメッセージでも、うっかり開けてしまうと、対応をせざるを得なくなります。

3、関連して問題になりやすいこと

SNSは多くの方が利用しており、使い勝手のよいツールではあります。しかし、間違った使い方をすると、ソーシャルハラスメントがさまざまなハラスメントに発展しかねません。ハラスメント一覧にすると、ハラスメントは40~50種類以上にのぼると言われていますが、ここではSNSに関連して起こりやすいハラスメントをご紹介します。

  1. (1)パワーハラスメント(パワハラ)

    たとえば、上司が平日の夜間や休日に個別にメッセージを送ってきて、「既読」をつけてしまうと急いで返信しなければならないと思い、心理的な圧迫を与えます。また、平日の夜に「この資料を明日の朝までに読んでおいて」などと送られると、部下は業務時間外に作業をせざるを得なくなります。これらは上司によるパワーハラスメント(パワハラ)に当たる可能性があります。

  2. (2)セクシャルハラスメント(セクハラ)

    上司が部下のプライベートな投稿をチェックしていると、業務時間中に投稿の内容を話題に出して、「付き合っている人いるの? 」「一緒に写っていた男の子は彼氏? 」などと詮索してくることがあります。また、個別メッセージで何度も「食事に行こう」などと送ってくることもあります。これらはセクシャルハラスメント(セクハラ)にあたる可能性があります。

  3. (3)職場環境配慮義務・安全配慮義務違反

    会社には、従業員が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう、環境に配慮する義務があります。

    上司がSNSで部下のプライバシーに度々立ち入り、従業員から状況を改善して欲しいと要望しているのに何の対応もしない様な場合、会社側に民法上の不法行為責任、職場環境配慮義務違反や安全配慮義務違反などの債務不履行にあたる可能性があります。

  4. (4)プライバシー権の侵害

    また、同僚や友達同士でソーシャルハラスメントの原因を作り出してしまうこともあります。たとえば、会社には病気で休むと言っているときに友達と旅行に行き、旅先で一緒に撮った写真を断りもなくアップされ、タグ付けされることで、SNSでつながっている会社の上司に旅行に行ったことがばれる、といったトラブルも少なくありません。

    勝手に写真をインターネット上にアップすることは、プライバシー権の侵害にあたる可能性があります。

4、企業としてできる対策方法

ソーシャルハラスメントが社内で起こったことが外部に知れ渡ると、社会的な評価や信用に大きな影響を与えます。企業としては未然にトラブルを防止しておきたいところです。
ここでは、企業としてできる対策について解説します。

  1. (1)事業主の方針を明確にして周知する

    まず、事業主として、就業規則や社内報などで「いかなるハラスメントもあってはならない」旨を強く意思表示しましょう。そして、社内研修やイーラーニングなどを通じて、社員全員にハラスメントの未然防止を周知・徹底させることが必要です。

  2. (2)相談窓口の設置

    ハラスメントを受けたことは、近しい友人や同僚にはなかなか相談しにくいものです。そこで、ハラスメントに厳正に対処すべく社内に相談窓口を設ける企業も出てきています。相談窓口を設けることで、会社としてハラスメントが起こった事実を認識し、適切に対処できるようになるのです。

  3. (3)ソーシャルハラスメントに対する対応方法の整備

    ソーシャルハラスメントへの対応方法について、整備をすることも必要です。相談窓口で社員から相談や通報を受けた際には、ハラスメントがあった事実の把握、関係者への聞き取り調査、配置転換などの対応ができるよう、社内体制を構築しておきましょう。
    また、従業員のメンタル面のケアをするためにカウンセラーを紹介するなど、メンタルヘルスについても対応できるよう体制を整えておくことが大切です。

  4. (4)SNSに関する社内教育を行う

    ソーシャルハラスメントを未然に防止するために、社内教育を行うのも有効な手段の一つです。
    特に上司にあたる世代の多くは、SNSのリテラシーがあまり身についていない方もいるため、上司と部下の立場の違いを意識する必要があります。一定の距離感を保つこと、どうしても必要な場合以外は業務時間外に個別メッセージを送らないことなど、SNSを利用するときのマナーをしっかり身につけさせておくことが重要です。

  5. (5)社内SNSを導入する

    また、社内で連絡を密に取り合いたければ、社内SNSを導入するのも良いでしょう。社内SNSではプライベートな情報の登録は一切不要なので、プライバシーを気にせず利用することができます。また、ログを残せるタイプのものもあるので、どんなやり取りが行われているかが可視化され、私的なやり取りを防ぐことも可能なので安心です。

5、会社で問題が起こってしまったら、弁護士へ相談を

社内でSNSを使ったソーシャルハラスメントが起こったことが外部に知れ渡ると、企業のイメージダウンにもつながります。もし、企業でソーシャルハラスメントが起こってしまった場合は、弁護士に相談の上、毅然とした対処が必要です。

  1. (1)ソーシャルハラスメントのリスクとは

    ソーシャルハラスメントは、さまざまなリスクをはらんでいます。ソーシャルハラスメントがセクハラやパワハラにあたる場合は、加害者が慰謝料や損害賠償を請求されることにとどまらず、会社側も使用者責任を問われる可能性があります。そのため、できる限り初動を早くすることが解決への近道です。

  2. (2)弁護士に相談する

    ソーシャルハラスメントがパワハラやセクハラに該当する場合、被害者から使用者責任で会社が訴えらえることがあります。できる限り火種の小さなうちに対処するために、ソーシャルハラスメントが発覚した段階で、すぐに弁護士に相談しましょう。弁護士であれば会社の事情に合わせて、できるだけダメージが少なく適切に対処できる方法についてアドバイスが可能です。

  3. (3)事実関係を把握する

    ソーシャルハラスメントが起こったら、すぐに事実関係の把握に努めましょう。問題となっている上司のSNS上の行為や、それに基づく言動がハラスメントにあたるかどうかを判断し、その結果どう対応すべきかを検討します。

  4. (4)示談交渉あるいは訴訟に対応する

    弁護士と事実関係を検討した結果、ハラスメントに該当すれば、被害者側との示談交渉に対応します。場合によっては訴訟に発展する可能性もゼロではありません。しかし、弁護士に依頼すれば、訴訟になっても最後まで対応してもらえるので、弁護士にはできる限り早い段階で入ってもらうようにしましょう。

6、まとめ

SNSが普及してきたのは最近のため、比較的高い年齢層ではSNSへの理解があまり備わっていないことが予想されます。そのため、無意識のうちに相手にいやな思いをさせてしまっていることも少なくありません。

社内でソーシャルハラスメントが起こっていることが発覚したら、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスまでご連絡ください。企業法務の経験豊富な弁護士が、トラブルの速やかな収束のためにアドバイスします。事態が大きくなる前に、お早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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