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内部統制の4つの目的とは? 6つの基本要素と必要になるもの

2024年02月15日
  • 一般企業法務
  • 内部統制
  • 4つの目的
内部統制の4つの目的とは? 6つの基本要素と必要になるもの

内部統制システムの構築は、法令で義務付けられている大企業から上場を目指すスタートアップ企業まで、多くの企業にとって重要性が増しています。

内部統制システムは不正を防止するとともに効率的な企業経営を目的としており、法的に義務付けられていない企業にとっても、導入することにはメリットがあります。

本コラムでは、企業における内部統制の目的や基本要素などについて、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説いたします。

1、内部統制とは?

日本における内部統制を法制度化したものとしては、会社法における内部統制の規制と金融商品取引法に基づく内部統制とが存在します。

  1. (1)会社法上の内部統制

    会社法における内部統制システムとは、下記の362条第4項6号などに定められた、会社の業務の適正を確保するために必要な体制のことを指します。

    会社法362条第4項6号
    取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備


    ここでいう「体制の整備」とは、内部統制システムの基本方針を構築することを指すと考えられています。

    内部統制システムの構築は会社経営の基本にかかる重要な事項であることから、取締役会の専決事項とされています
    また、社会的影響力の大きい大会社については、内部統制システムが義務化されています。
    さらに、株主による評価を可能にするために、内部統制システムの相当性については監査役監査の対象とされており、事業報告において株主に情報開示がなされます。

  2. (2)金融商品取引法上の内部統制

    内部統制に関する評価や報告は、金融商品取引法によって平成20年(2008年)4月1日以降開始事業年度からすべての上場会社に義務付けられることになりました。

    金融商品取引法第24条の4の4第1項
    第24条第1項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第23条の3第4項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。次項において同じ。)のうち、第24条第1項第1号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)を有価証券報告書(同条第8項の規定により同項に規定する有価証券報告書等に代えて外国会社報告書を提出する場合にあつては、当該外国会社報告書)と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない。


    金融商品取引法上の内部統制報告制度に関しては、財務諸表が適正に作成や開示がされているという「結果」だけではなく、適正に作成するための「体制」や「過程」についても、外部の監査人の監査を受けて開示することが求められています

  3. (3)会社法上の内部統制と金融商品取引法上の内部統制の違い

    会社法上の内部統制と金融商品取引法上の内部統制には、下記のような違いがあります。

    • 必要となる手続きの相違
      会社法では、すべての大会社などに対して、取締役会が「会社の業務の適正を確保するための体制」の整備にかかる事項を決定することを義務付けています。
      また、これらの内容の概要を事業報告において開示することも求められています。

      これに対して、金融商品取引法上の内部統制制度は、上場会社等が事業年度ごとに、「当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確認するために必要なものとして内閣府令で定める体制」について評価した「内部統制報告書」を有価証券報告書とあわせて提出しなければならないとしており、かつ、内部統制報告書は、有価証券報告書に記載される財務諸表や連結財務諸表を監査する公認会計士等の監査を受けることが必要とされているのです。
    • 規定の趣旨の違い
      会社法の内部統制は、取締役の業務の適正を確保するという観点から定められています。
      一方、金融商品取引法の内部統制は、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するという観点で定められており、この点で違いがあります。

2、内部統制の4つの目的|6つの基本要素

以下では、金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」に定められている、4つの目的と6つの基本要素について解説します。

  1. (1)4つの目的

    内部統制は、組織の事業活動を支援する「4つの目的」を達成するために組織内に構築されるものとされています。
    4つの目的の内容は、下記の通りです。

    1. ① 業務の有効性および効率性
    2. ② 財務報告の信頼性
    3. ③ 事業活動に関わる法令等の順守
    4. ④ 資産の保全


    ① 業務の有効性および効率性
    「業務の有効性および効率性」とは、事業活動の目的を達成するために、業務の有効性および効率性を高めることをいいます。
    業務の達成度やリソースの合理的な利用度を測定・評価し、適切な対応を図る体制を設けることが肝要です。

    ② 財務報告の信頼性
    「財務報告の信頼性」とは、財務諸表や財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある情報の信頼性を確保することをいいます。
    財務報告にあたっての重要な事項に虚偽記載が発生することがないように、必要な体制を整備しながら運用することが大切です。

    ③ 事業活動に関わる法令等の順守
    事業活動に関わる法令等の順守とは、事業活動に関わる法令やその他の規制や規範の順守を促進することをいいます。
    法令等を順守して事業活動を営むための体制を整備し、運用することが重要であり、これらを通じて、組織の存続や発展が図られることになります。

    ④ 資産の保全
    資産の保全とは、資産の取得、使用や処分が正当な手続きや承認のもとに行われるよう、資産の保全を図ることをいいます。
    不正や過ちを防止するため、資産が正当な手続き・承認のもとに取得、使用および処分される体制を整備することが求められます。

  2. (2)6つの基本要素

    内部統制に必要な6つの要素は、以下の通りです。

    1. ① 統制環境
    2. ② リスクの評価と対応
    3. ③ 統制活動
    4. ④ 情報と伝達
    5. ⑤ モニタリング
    6. ⑥ ITへの対応


    ① 統制環境
    統制環境は、他の基本要素の基礎をなすものであり、他の基本的要素に影響を与える重要な基本的要素といえます。
    特に、内部統制の有効性を確保するため、経営者の経営理念や倫理観や誠実性が重要となります。
    いくら社内ルールなどを定めても、それらを順守しようという意識がなければ、「絵に描いた餅」になってしまうためです。

    ② リスクの評価と対応
    経済環境や企業の属する業界、事業の状況、規制などは常に変化し続けるため、このような変化に対応してリスクを識別して対応するための仕組みが必要となります。

    ③ 統制活動
    統制活動は組織のすべての階層、職務で行われ、具体的には、承認、権限の付与、確認、レビュー、資産の保全などの活動が含まれます。
    また、定めたルールを適切に順守させるための方針・手続きの制定が、コンプライアンスの観点からは特に重要になります。

    ④ 情報と伝達
    重要情報を上層部に伝達する手段が確立されていることや株主、顧客、取引先等企業外部の者とのコミュニケーションも必要とされます。
    必要な情報が、関係する組織や責任者に、適時・適切に伝達されることを確保する仕組みを構築することが大切です。

    ⑤ モニタリング
    内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスを指し、日常的な監視活動と独立的な評価、またはその両方の組み合わせによって遂行されることになります。
    近年では、会社における取締役会の意義として、モニタリング機能が重視されるようになっています

    ⑥ ITへの対応
    組織目標を達成するため、あらかじめ適切な方針や手続きを定め、業務の実施において組織の内外のITに対し適切に対応することも必要です。
    IT環境の飛躍的な進展により、多くの組織がIT抜きでは業務を遂行することができなくなってきています。
    そのため業務を実施する過程で組織内外のITに対し適切に対応することが、内部統制の目的を達成するために不可欠となっているのです。

3、会社の体制整備は弁護士へ

内部統制の4つの目的と6つの基本要素について十分に配慮された社内体制(各種のフローや社内規程など)を整備して構築するためには、内部統制について精通している弁護士に相談することをおすすめします。

4、まとめ

会社における内部統制については、4つの目的と6つの基本要素があり、これらについて十分に配慮された社内体制(各種のフローや社内規程など)を整備し構築する必要があります。
とりわけ、十分な内部統制を構築するためには会社の事情を把握していることが重要です。ベリーベスト法律事務所では、企業のニーズに合わせた柔軟な顧問弁護士サービスを提供しております。
内部統制に関するご相談についても、まずはベリーベスト法律事務所 神戸オフィスにお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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