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あおり運転と暴行罪の関係を神戸の弁護士が解説

2018年12月06日
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あおり運転と暴行罪の関係を神戸の弁護士が解説

平成30年9月、兵庫県の国道であおり運転を受けたことに逆上したバイクのドライバーが、あおり運転をした自動車の運転手と同乗者に暴行を加えてけがをさせる事件が発生しました。あおり運転が社会的に大きな問題となっておりますが、「あおり運転」は処罰されないのでしょうか?

ここでは、社会的な問題として注目されているあおり運転ついて、神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、あおり運転とはどのような行為なのか?

あおり運転をされた……という経験がある方は少なくないでしょう。ご存じのとおり、「あおり運転」は、以前からマナーを欠く上に危険な行為であると問題視されてきました。もしかしたら、「前を走っている車が遅くてイライラした」「割り込みをされて腹が立った」などの理由で、事故に至らないまでも、あおり運転をしたことがある方もいるかもしれません。

しかし、あおり運転は言うまでもなく、大事故を引き起こす可能性がある危険運転です。ここで、改めてあおり運転について正しい認識を復習しておきましょう。

  1. (1)あおり運転の定義

    あおり運転とは、特定の自動車やバイクなどに対して、急激に接近する、相手の前に急に割り込む、相手の前で急ブレーキを踏む等の運転を行い、交通の危険を生じさせる行為を指します。厳密には、あおり運転という交通違反は存在せず、典型的とされるあおり運転によって犯すことになる法令違反を根拠に、取り締まりを受けることになります。

    もちろんこれまでも、あおり運転が危険である認識はあったものの、「交通違反である」という認識は浸透していませんでした。「運転マナーが悪い」という程度に見られていたのです。ところが、平成29年に東名高速道路上におけるあおり運転を原因とした事故が発生したことで、危険なあおり運転を許すべきではないという世論が高まりました。そこで警察庁も、各都道府県警察に対して「あらゆる法令を駆使して厳正な捜査を徹底すること」という通達を行ったのが、平成30年1月のことです。

    平成30年6月、高速道路を対象に全国で初となるあおり運転一斉取り締まりが実施されました。実施期間はわずか1週間でしたが、実に約1300件ものあおり運転が検挙されたことから、あおり運転に対する取り締まりはさらに厳しくなっていくものと予想されます。

  2. (2)あおり運転とみなされる交通違反

    あおり運転はどのような交通違反に該当するのでしょうか? あおり運転とみなされる代表的な交通違反を列挙してみましょう。

    ●車間距離不保持違反
    前方車両の後方にピッタリと接近し、加速や車線変更を促し挑発する運転

    ●安全運転義務違反
    側方の車やバイクなどに接近し、幅寄せをする運転

    ●急ブレーキ禁止違反
    後方の車両を停止させようとする、嫌がらせ目的で急ブレーキをかける

    ●進路変更禁止違反
    進路妨害や嫌がらせ目的で、周囲の車両が急ブレーキや急ハンドルで避けなければ衝突してしまうような進路変更をする

    ●追い越し方法違反
    前方車両の左側から追い越す

    ●減光等義務違反
    夜間に前方車両の運転手の目をくらませる目的で、ヘッドライトをハイビームのままにして走行する、不必要なパッシングを繰り返して停止を促す

    ●警音器使用制限違反
    危険回避のためにやむを得ない状況ではないのに、周囲の車両を威圧する目的でクラクションを鳴らし続ける

    これらの行為をしたからといって、すべてがあおり運転に該当するわけではありません。たとえば、前方の危険を回避するために急ブレーキや急な進路変更をすることや、前方車両がいるのにハイビームの切り替えを忘れていたなどは、あおり運転にみなされることはないでしょう。

    あおり運転によって、著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると公安委員会が判断した場合は、免許の取消しもしくは免許停止の処分がされることがあります(道路交通法103条1項8号)。

2、あおり運転が暴行罪に該当するケースもある

警察庁は、悪質なあおり運転について「あらゆる法令を駆使して厳正に捜査する」と達しています。この通達は、道路交通法だけでは対処できなかったり、道路交通法違反では処罰が軽微すぎたりするケースでは、別の法令の適用も積極的に検討することを促しているのです。

その結果、あおり運転が、道路交通法ではなく刑法で定められている「暴行罪」に該当するケースがあります。暴行罪は、刑法第208条で「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」と規定されている犯罪です。

本条の「暴行」は、「不法な有形力の行使」と解釈され、殴る蹴るなどの明確な暴力だけでなく、相手の肉体が負傷する可能性さえあれば、暴行罪に該当しうると解釈されています。つまり、もともと、脅す目的で目の前に石を投げつける行為や、実際に切りつけるつもりがなくても室内で日本刀を振り回す行為など相手の身体に接触していない場合でも成立するケースがあるのが、暴行罪なのです。つまり、車を運転して相手に圧力をかけ、事故が起これば相手の身体に負傷させる可能性がある「あおり運転」は、暴行罪に該当しうるといえるでしょう。

とはいえ、実は「あおり運転は暴行罪に該当する」という考え方は、特に目新しい解釈ではありません。昭和50年に東京高等裁判所があおり運転を暴行罪とする判決を下していることから、学説的には、あおり運転が暴行罪に該当しうるという考え方は定着していました。ところが、特に危険で悪質なあおり運転によって死傷が発生するほどの交通事故でない限り、積極的には採用されていなかったのです。

平成30年1月の警察庁の通達以降、すでに全国的に、あおり運転が「暴行罪」とみなされ検挙されています。さらには、平成30年9月には、あおり運転が原因の死亡事故では殺人罪として起訴されました。あおり運転は、道路交通法違反というだけでなく、刑法違反になり得るということを、改めて認識しなおす必要があるでしょう。

3、あおり運転の報復に暴行を働いた場合

では、冒頭で紹介した事例のように、あおり運転を受けたドライバーが立腹して報復行為にでたら、どのような罪が問われるのでしょうか。もちろん、あおり運転に対してあおり運転で報復することは、非常に危険な行為です。

仮にあおり運転の報復であったとしても、相手に暴力を振るってしまえば暴行罪が成立し、暴行によって負傷すれば傷害罪に、死亡させれば暴行致死罪や殺人罪に問われます。

相手のあおり運転はケースに応じて個別に処罰されることになりますが、暴行を正当化する理由にはなりません。もしあおり運転をされたら、冷静に危険がない場所へ移動して車を停車させ、相手のナンバーを控えたり、停止した状態もしくはドライバー以外がスマートフォンで撮影をしたりして、速やかに110番通報をしましょう。

4、あおり運転の立証に有効な証拠

現在、多くのあおり運転を立証する証拠として重宝されているのがドライブレコーダーです。本来は衝突事故の状況を映像として記録することで事故の真相を証明したり、車上狙いなどの犯罪行為を立証したりという目的で普及していました。ここにきて、あおり運転の立証にも有効であることで注目されています。

これまで、あおり運転を立証するのは、被害者が感じた恐怖を克明に記録した供述調書や周囲の目撃情報が主でしたが、犯人の否認によって事実が判然としないこともありました。

現在では、あおり運転はドライブレコーダーで撮影された映像記録という客観的証拠によって立証される時代になったのです。状況によっては、同乗者や周囲を通行する車に乗っていた方がスマートフォンなどで撮影した動画などが証拠になるケースもあるようです。

5、暴行罪に問われて逮捕された場合の流れ

暴行罪に問われた場合は、次のような刑事手続きを受けることになります。

●警察による身柄拘束:逮捕から48時間以内は、事実の認否や事件の経緯などに関する取り調べを行うため、警察に身柄を拘束されます。

●検察庁への送致:逮捕から48時間以内に検察庁に送検されます。送検を要しないと判断された場合は、この時点で釈放されます。

●被疑者としての勾留:検察官が、引き続き身柄を拘束したままで捜査を継続するべきだと判断すると、裁判所に対して勾留請求をします。勾留が認められた場合、原則10日間、延長10日間、身柄拘束が続きます。

●起訴:刑事裁判によって被疑者の罪を問う必要があると検察官が判断した場合、検察官は起訴します。不起訴となれば、身柄が解放され、前科がつくこともありません。

●被告人としての勾留:起訴されると身分が被告人になり、判決が下されるまでの間、身柄拘束を受ける可能性があります。ただし、略式起訴となったときは書類だけの手続きとなるため、直ちに帰宅することができます。

この流れは、あおり運転で暴行罪に問われる場合だけでなく、あおり運転の報復で罪に問われた場合も同様です。

一方で、車間距離不保持や急ブレーキ禁止などのような道路交通法違反しか適用されなかった場合は、反則通告制度にのっとった違反切符処理を受けることになります。違反に応じた反則金を納付すれば違反点数の累積だけで済みますが、反則金を納付しない場合は刑事事件として逮捕されたり、起訴されたりする可能性があることも覚えておきましょう。

暴行罪で有罪判決を受けると、「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」の刑罰が下されます。

また、危険なあおり運転やあおり運転による報復などが事件化されると、道路交通法の規則による危険性帯有者に指定されるおそれがあります。危険性帯有者とは「車の運転によって道路交通に著しい危険を生じさせるおそれがある者」のことです。

指定された場合、違反点数の累積にかかわらず運転免許が取り消されたり、180日以内の停止処分を受けたりする可能性があることに注意しましょう。

6、まとめ

悪質で危険なあおり運転は、今後さらに厳重な取り締まりの対象となっていくでしょう。もし、他人にあおり運転をしてしまった、通報される可能性がある、事故に発展したという悩みを抱えている方は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士を選任することで、示談による穏便な解決や、逮捕の防止、刑罰の減刑が期待できます。特に示談を成立させることで、被害者の処罰感情が薄い、すでに当事者同士で事件を解決しているなどとみなされ、起訴を回避できる可能性が高まります。

ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスでは、あおり運転によるトラブルを解決するために全力でサポートいたします。神戸オフィスの弁護士がお話を伺いますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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