公然わいせつで後日逮捕される可能性や取るべき措置は? 神戸オフィスの弁護士が解説
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適度にお酒を楽しむことは、ストレスを和らげるとも言われていますが、悪い酒癖を持っている方はお酒の飲み方に注意する必要があります。
酔うとつい服を脱いでしまうという酒癖を持っているのであれば特に要注意です。人前で服を脱いで全裸になったりすれば、公然わいせつ罪で逮捕される可能性があります。
本コラムでは、酒に酔って深夜の住宅街で全裸になるなど、公然わいせつ罪にあたりそうな行為をしてしまった場合に後日逮捕されることはあるのか、また罪を犯してしまった場合にまず取るべき措置は何なのかといったテーマで、神戸市にオフィスを構える弁護士が解説していきます。
1、公然わいせつ罪とはどんな犯罪なのか?
住宅街などで服を脱いで裸になる行為は「公然わいせつ罪」に問われる可能性があります。
まずは公然わいせつ罪とはどのような犯罪なのかを解説します。
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(1)公然わいせつ罪の要件と罰則
公然わいせつ罪は刑法第174条に規定されている犯罪です。
条文では「公然とわいせつな行為をした者は、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」と明示されています。
まず「公然と」とは、不特定または多数の人が認識できる状態でという意味です。
住宅街はもちろん、路上、公園などの施設、電車などの乗物内など、広く公共の場所で「わいせつな行為」をした場合がこれに該当します。
深夜の路上など、「わいせつな行為」が行われた際、もし周囲に人がいなかったとしても、同様です。
次に「わいせつな行為」とは、人の性的羞恥心を害する行為のことを言います。
性器を露出したり、性行為を見せつける行為などが該当します。
公然わいせつ罪は、罰金刑や科料が規定されており、量刑としては比較的軽い部類に入る犯罪です。
ただし、常習性がある、エスカレートする傾向があるという特徴を持つ性犯罪の入口事件として、厳しい対応が取られるケースが多いという特徴もあります。 -
(2)公然わいせつ罪で後日逮捕されることはあるのか?
公然わいせつ罪は、犯行の現場に警察官が駆けつけ、その場で身柄を確保されるという現行犯逮捕されるケースが大半です。
そのため「公然わいせつ罪は現行犯でないと逮捕されない」と思っている方がいますが、これは間違いです。
目撃者が証言している、防犯カメラなどに記録されているなどの証拠が揃っていれば、裁判所から逮捕状の発付がされることも考えられます。
つまり、犯行のその場で現行犯逮捕されなくても、後日、自宅や職場などに警察官が訪れて逮捕されてしまう可能性があるということになります。 -
(3)公然わいせつ罪で逮捕された場合の刑事手続き
公然わいせつ罪で逮捕されると、まず逮捕から48時間は警察署の留置施設で身柄の拘束を受けます。
逮捕されると、携帯電話を自由に使うことはできなくなり、外出はおろか家族であっても面会さえできないので、外部との連絡は一切取れなくなります。
そしてこの間に、逮捕事実の認否や犯行の経緯などの取り調べを受けることが多いです。
逮捕から48時間後までに、警察は逮捕した被疑者の身柄と関係書類を検察庁に引き継ぎます。これを「送致」と呼びます。
正しくは「検察官送致」という手続きですが、マスコミなどで使用される送検という用語のほうが聴き慣れている方も多いでしょう。
送致を受けた検察官は、被疑者の身柄をさらに拘束して捜査を続ける必要があるのかを判断します。捜査を続ける必要があると判断した場合、検察官は裁判所に対して「勾留請求」をおこないます。勾留請求が認められれば、原則は10日間、延長請求によってさらに10日間の最大20日間は身柄を勾留されることになります。
法務省が発表している犯罪白書によると、検察官が勾留請求をおこなう割合は90%を超えています。
逮捕された場合は、ほぼ勾留請求の手続きに進んでしまうと覚悟しておくべきでしょう。
その後、勾留が満期を迎える日までに、検察官は被疑者の罪を刑事裁判で問う必要があるのかを判断します。罪の責任を問う必要があると判断されれば起訴されて、刑事裁判が開かれます。一方で必要なしと判断された場合は、不起訴処分となってその時点で釈放されます。
2、公然わいせつ罪を犯してしまった場合に取るべき措置とは?
公然わいせつ罪を犯してしまい、その場では警察官に確保されなかったとしても、後日逮捕される可能性は残っています。
もし「公然わいせつ罪を犯したことは間違いない」という場合や「酒に酔って記憶が曖昧だが公然わいせつ罪に該当する行為を犯した覚えがある」という場合は、そのまま放置せずに弁護士に相談し、最善と考えられる対策を講じるべきでしょう。
以下では、公然わいせつ罪を犯してしまった場合に取るべき措置について紹介します。
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(1)自首によって後日逮捕を防ぐ
自首は刑法第42条1項によって厳密に規定されている手続きで、刑罰が減免・免除されますが、犯罪の犯人が自ら警察署に赴くことを全て刑法上の自首と呼ぶわけではありません。
刑法上の自首とは、捜査機関に犯罪が発覚する前、または犯罪は発覚しているが犯人が判明していない場合に成立します。捜査によって「どこの誰による犯行」なのかが特定されてしまっていれば自首は成立しないため、自首するならできるだけ早い行動が望ましいといえます。
また、自首をすることのメリットは刑の減免・免除だけではありません。後日逮捕の防止にも有効です。
逮捕状による逮捕は「逃走または証拠隠滅のおそれ」がある場合に執行できますが、被疑者が自首するということは、深く反省していて捜査にも全面的に協力するという意思表示でもあり、逮捕の要件を打ち消す効果が期待できるのです。
弁護士を選任していれば、個別のケースで自首が有効であるかを適切に判断することや、自首する際の警察署への付き添いを依頼することが可能です。 -
(2)逮捕された場合の早期釈放を目指す
もし公然わいせつ罪で後日逮捕されてしまったら、まず早期釈放を目指す必要があります。
勾留が長引くと、会社を長期欠勤することになり、解雇されたり職場に居づらくなってしまったりするおそれがあります。
したがって、早期の身柄解放を目指す必要があります。
公然わいせつ罪は、被害者のいない犯罪ですから、被害者と示談するということは基本的にはできません。ただし、いわゆる露出狂の様な態様で犯罪が行われた場合、陰部等を見せつけられた人が被害者に類似する存在と言うことになります。そのような人に対し、驚かせてしまったこと、気分の悪い思いをさせてしまったことに対する謝罪の意を示し、和解することは、重要なことです。この様な人と和解が成立すれば、犯行状況を知る重要人物と和解したということになるので、証拠隠滅の可能性が極めて低いことをアピールすることができ、早期の身柄解放に重要と言えます。この様な重要人物との和解も弁護士を選任することで、スムーズに進めることが可能になります。
その他、勾留の要件がないことやその必要性がないことを主張し、早期の身柄解放を求めて行く方法もあります。
弁護士を選任していれば、準抗告・勾留理由開示請求・勾留取消請求などの手続きで、勾留に対抗することも可能になります。
3、まとめ
今回は公然わいせつ罪について、基本的なことから後日逮捕の可能性や取るべき措置まで解説しました。
警察に逮捕されれば、仕事を長期欠勤して解雇されてしまったり、新聞やニュースで実名報道されてしまったりすることで、その後の社会生活に大きな支障をきたすおそれがあります。
公然わいせつ罪を犯してしまった場合は、後日逮捕を防ぎ、もし逮捕されてしまっても早期釈放を目指せるように、対策を講じた方がよいでしょう。
公然わいせつを犯してしまいお悩みの方は、ぜひベリーベスト法律事務所 神戸オフィスにご連絡ください。「警察がきて逮捕されるかも知れない」とひとりで悩むよりも、弁護士に相談して適切なアドバイスとサポートを受けることをおすすめします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています