風俗トラブルを起こしてしまったとき、弁護士に相談するメリットとは?
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平成31年2月、有名俳優が自宅で派遣型マッサージ店の女性に乱暴をしたとして逮捕、起訴されました。派遣型マッサージだけでなく、風俗店では、女性従業員が男性客と密室で1対1になることから、男性の行為がエスカレートしてしまい、風俗トラブルに発展することも多いといいます。
そのようなトラブルに巻き込まれたときは、すみやかに弁護士に相談したほうがよいでしょう。しかし、弁護士は風俗トラブルをどのように解決してくれるのか、家族や職場には知られないのか気になる方もいらっしゃると思います。そこで今回は、風俗トラブルに遭ったときに弁護士に相談するメリットや弁護士が問題解決する方法について解説します。
1、よくある風俗トラブル
風俗店では、女性と利用客が1対1となることから、利用客がお店のルールや節度を守らなかった場合はもちろん、守っていたとしても、問題とされてしまうことがあります。ここでは、よくある風俗トラブルをご紹介します。
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(1)本番行為をしてしまった
デリヘル(デリバリーヘルス)やキャバクラなどの風俗店では、原則として店員と客との本番行為(性交渉)が禁止されています。しかし、そういうルールがあるとわかっていても、魔が差して本番行為に及んでしまうケースも少なくありません。また、店員の女性側から「性交渉をしても大丈夫」と言われ、本番行為をしてしまうケースもあります。その後、店長に通報されてお店とトラブルになることが多いのです。
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(2)妊娠させてしまった
特に避妊具をつけずに本番行為をしてしまった場合、女性や風俗店側が妊娠させられたと主張するケースも少なからず見られます。ただ、その女性が風俗店に勤めているという関係上、他の男性とも同様の行為があった可能性は捨てきれないので、お腹の子どもが他の男性との子どもである可能性があります。また、この様な主張を受ける場合、妊娠の証拠をきちんと確認させてもらえないことも多く、そもそも妊娠をしていない可能性すらあります。しかし、本当に妊娠していた場合、女性が中絶せずにそのまま出産してしまうと、認知や養育費を請求されてトラブルになることも考えられます。
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(3)盗撮してしまった
最近のスマートフォンにはカメラが標準装備されているので、いつでもだれでも写真が手軽に撮れる時代になりました。そのため、風俗店を利用したときに、女性店員のスカートの中や、性的サービスを受けている様子をこっそり撮影していることが相手やお店に知られてしまい、現金や身分証明書、キャッシュカードを取り上げられたりするケースも少なくありません。中には、そのまま銀行のATMに連れていかれて、現金の引き出しを求められるケースもあります。
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(4)無実なのに犯罪者扱いされた
女性から性的サービスを受けた後、女性から「性交渉を強要された」「こっそり撮影された」などのあらぬ言いがかりをつけられ、やってもいないのにお店側から強制性行や盗撮の疑いをかけられる事案も少なからずあります。お店側は従業員の言うことをうのみにしてその場で損害賠償や慰謝料を請求してきたり、警察に通報したりすることもあります。そうすると、冤罪事件に巻き込まれる可能性も否定できません。
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(5)自分の行為が犯罪になることも……
もし、女性側が嫌がっているにもかかわらず、無理やり性交渉を迫った場合は強制性交等罪に問われる可能性があります。また、相手がもし18歳未満だった場合で、それを知っていた時は、各自治体の青少年の健全な育成に関する条例(青少年保護育成条例)違反や児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性があります。
後者の場合、男性客側が「相手が18歳未満と知らなかった」と主張しても、言い分が通用しないことも考えられます。この場合は捜査機関と慎重にやり取りを行う必要があるため、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
2、風俗店側に金員を請求されたときの対処法
もし、女性相手に本番行為や盗撮をしてしまった場合、店長や男性の従業員が来て、密室で慰謝料や損害賠償金の支払いを迫るケースは珍しくありません。このように、もし風俗店側に脅された場合は、どう対処すればよいのでしょうか。
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(1)慰謝料や損害賠償金を請求されてもその場で支払わない
本番行為や盗撮などのいわゆる「禁止行為」をした場合、お店側から100万円を超える法外な慰謝料や損害賠償金を請求され、怖さのあまり金額の一部をその場で支払ってしまうことが多くあります。しかし、その金額が正しいかの判断をするためにも、「支払え」と言われてもその場ではすぐに支払わないことが大切です。とにかく、その場をやり過ごして、その後、すぐに弁護士に相談しましょう。
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(2)示談書にはその場でサインしない
慰謝料や損害賠償金の請求に合わせて、お店側が示談書にサインをするように迫ってくることもあります。しかし、相手方が一方的に出してくる示談書は、こちら側が不利になるような内容が含まれている可能性が十分にありますので、その場ではサインせず、弁護士に相談して判断をあおいだほうがよいでしょう。
また、お店側が言うとおりに書面を書けと求められることもありますが、これも示談書にサインすることと全く同じリスクがありますので、作成を控えましょう。 -
(3)暴行を受けたら証拠を残す
もし、慰謝料や損害賠償金の支払いや示談書へのサインを迫られたときに、殴る蹴るなどの暴行を受けた場合は、暴行を受けた証拠を残しておきましょう。後で警察から事情を聞かれることがあったときに有利になります。あざや傷ができていなくても、暴行を受けた箇所を写真に撮る、病院を受診して診断書をもらっておくなどをしておきましょう。
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(4)風俗店から「家や職場に行く」と言われたら
慰謝料や損害賠償金、示談書へのサインを拒否すれば、風俗店側が「おとなしく慰謝料を支払わなければ、家や職場に行く」などと言ってくることがあります。男性側がサービスを受けている間に、女性に自分の家や連絡先のことをしゃべってしまい、相手方に個人情報を握られていることも多いのが実情です。そのため相手方の要求を受け入れそうになりますが、そうした行為は違法であり、脅迫罪・恐喝罪にあたる可能性がありますので、すみやかに弁護士に相談したほうがよいでしょう。
3、弁護士による示談交渉の進め方
よほど男性客側が悪質なことをしない限り、逮捕・起訴されるようなことはあまりありません。もっとも、女性側が被害届や告訴状を提出するなどした場合は、警察も動かざるを得ませんので、そういった場合、男性客側も取調べを受ける可能性もありますが、だからと言って常に逮捕・起訴されるわけではありません。しかし、いずれにせよ、女性に何か意に反する行為に及んだのであれば、刑事責任はさておき民事上の損害賠償等を行う必要はあります。その際、弁護士に依頼すれば女性と和解(示談)交渉を進めてもらえますが、実際に弁護士はどのように示談交渉を進めてゆくのでしょうか。
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(1)事実関係の確認
まず、弁護士は事実関係の確認を行います。弁護士は、本番行為や盗撮をした事実はあるか、自分が女性にそれらを強要したのか、逆に女性側から性交渉を迫ってきたのかなどを男性客側からヒアリングします。その際、事実を隠してしまうと示談交渉を始めるときにこちら側が不利になってしまう可能性もありますので、どんなに恥ずかしくとも包み隠さず正直に答えるようにしましょう。弁護士には守秘義務がありますので、弁護士に話したことが外部に漏洩してしまうことはありません。
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(2)風俗店に連絡
ヒアリングの終了後は、弁護士から風俗店側に連絡を入れます。そこでは、女性の意向をした上で、この事件を受任したこと、必要に応じて謝罪を行った上で、男性客やその家族、職場などには一切連絡しないこと、家や会社に行ったり、連絡したりした場合は法的措置を取ることなどを伝えます。示談書にサインをしてしまっている場合は、風俗店側から作成を求められ、第三者の意見も聞くことができないような状況で作成されている示談書は、強迫を受けた状態での意思表示であるから、示談書でなされた意思表示は無効であること、無実である可能性が濃厚な場合は慰謝料などの支払義務もないことなどを、併せて風俗店側にお話します。
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(3)和解(示談)交渉
男性客側から、希望する和解(示談)の方向性について(「家族や職場にばれるくらいなら多少お金を出す」など)事前にヒアリングした後、和解(示談)交渉がスタートします。風俗店側の言い分を聞き、慰謝料などの請求金額が法外な場合は高すぎる旨をしっかり主張し、妥当な金額まで引き下げるよう交渉します。可能な限り、女性本人と直接会話をした上で、男性にどうしてほしいのか希望を伺い、妥協点を探ります。
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(4)示談書の作成
男性側と女性側の双方が解決条件などについて合意できれば、弁護士が合意内容を示談書(合意書)にとりまとめて、双方に署名・押印してもらいます。合意書は2部作成され、女性側と男性側がそれぞれ1部ずつ受け取ります。女性が源氏名を使って仕事をしていて、本名や連絡先を男性側に知られたくないという場合は、弁護士のみに本名や連絡先を開示し、男性側にはそれらの情報を伏せたものを渡すこともあります。
4、弁護士に相談する5つのメリット
一人では解決が難しい風俗トラブルも、弁護士に相談すればほとんどストレスもなく穏便に解決でき、すみやかに日常生活に戻ることができます。無料相談を実施しているところも多いので、気軽に相談してみましょう。
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(1)刑事事件化せずに解決できる可能性が高まる
弁護士に相談すれば、警察沙汰になり刑事事件化するのを回避できる可能性が高くなります。上記の通り、女性側が被害届や告訴状を提出してしまったような場合、警察も動かざるを得ません。しかし、万一警察になにがしかの方法で通報されてしまっていても、弁護士が警察に事情を直接伝える、あるいは書面で伝えれば、逮捕を免れることができることもあるのです。
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(2)不当請求を拒否できる
女性の中には、相手の弱みに付け込んで「あのときの本番行為で妊娠したから」「無理やり挿入してきたから」と主張して、中絶費用や慰謝料などを請求してくる可能性があります。しかし、中絶費用や慰謝料を求める方、つまり女性側に本当に妊娠したのかどうかや無理やり挿入されたことを立証する責任がありますので、産婦人科の診断書などの証拠提出を求めた結果、その言い分がウソだと発覚すれば、その要求を不当なものとして拒否することができる場合もあります。
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(3)家族や職場に知られずに解決できる
弁護士に風俗店への対応を依頼すれば、男性客本人だけでなく家族や職場に連絡される恐れも小さくなるので、家族や職場に知られずに問題解決ができます。家族にバレれば夫婦関係が破綻したり、職場にバレれば職を失ったりする可能性もありますが、家族にも職場にも知られずに解決できれば、それらの心配もなくなるでしょう。
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(4)示談金を減額できる可能性がある
弁護士が代理人として風俗店と交渉すれば、相手側から提示されている高額な示談金を減額できる可能性があります。相手方が法外な慰謝料や損害賠償金を突きつけてきても、弁護士は本人が十分反省していること、相手側の主張する金額が、裁判で認められる金額と比べて高すぎることなどを丁寧に説明します。そうすれば、相手方がこちら側の示談金の引き下げ要求にも応じてくれて、相場の範囲内に収まる可能性が高くなります。
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(5)トラブルが蒸し返されるのを防げる
相手方から出してきた示談書では、「この示談書に書かれているもの以外の債権債務はない」とする清算条項が記載されていない可能性が高く、示談書を交わしても後日再びお金を要求してくる可能性もあります。しかし、弁護士が交渉を行えば、清算条項の入った示談書を作成してもらえるので、後日異なる形でお金を要求されるなど、風俗トラブルを蒸し返されることを未然に防止できます。
5、まとめ
「酒に酔っていたから」「つい魔が差して」などの理由で本番行為や盗撮などに及んでしまった場合は、女性本人だけでなく風俗店自体を巻き込んだ風俗トラブルに発展することが度々散見されます。しかし、泣き寝入りしてしまえば、いつまでも慰謝料や損害賠償金を請求される可能性があります。
風俗店を利用した後にトラブルになる心配があれば、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスで相談を承ります。風俗トラブルの経験豊富な弁護士が、お客様に代わりお店側と交渉して、問題を解決いたします。初回の法律相談は、60分間無料です。お困りの方はお気軽に当事務所のオフィスまでご来所の上、ご相談ください。
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