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刑事事件なのに民事事件でも訴えられる? 刑事と民事の違いを徹底解説

2020年04月30日
  • その他
  • 刑事
  • 民事
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刑事事件なのに民事事件でも訴えられる? 刑事と民事の違いを徹底解説

ニュースなどで「刑事・民事の両面で責任を追及する」といったフレーズを耳にしたことはありませんか?
たとえば、令和元年9月に起きた、神戸市の外郭団体が一部の役員に対して不正に給与を支給したという事件では、歴代の取締役に対して「刑事・民事の両面の責任がある」といった監査報告がおこなわれたと報道されました。

一般的にも「刑事」と「民事」は違うものだという理解はあるはずです。
ところが、刑事裁判になったうえでさらに民事裁判にもなるというケースもあります。
刑事事件の裁判が終わったとしても、その後に民事裁判になってしまえば「なぜ何度も責任を問われるのか?」と疑問を感じるでしょう。
刑事事件で不起訴処分になったのに民事裁判を提起されてしまえば、腹立たしささえ感じてしまうかもしれません。

本コラムでは、刑事事件と民事事件の違いに触れながら、刑事裁判と民事裁判の両方で責任を問われるケースについて、神戸オフィスの弁護士が詳しく解説します。

1、「民事」とは?

まずは「民事」とは、どのようなものを指すのかについて確認してみましょう。

  1. (1)民事事件は「私人同士の紛争」

    民事事件とは、人と人、人と会社、会社と会社のように、一般私人の間で起こった紛争を指します。

    たとえば、借金の返済をめぐって言い争いがある、不注意によって物を壊されてしまったので弁償してもらいたい、家賃を滞納している入居者に退去を求めているが居座って出ていかないといった、日常生活におけるさまざまなトラブルが民事事件に該当します。

  2. (2)民事裁判の争点・効果

    民事裁判では、訴えを起こした人を「原告」と呼び、訴えられた側の人を「被告」と呼びます。
    訴えた・訴えられたというと、まるで原告が正しく、被告に悪事があるかのように誤解してしまいがちですが、民事裁判は善悪をジャッジする場ではありません。
    民事裁判で争点となるのは「どちらの権利や義務が認められるのか」です。

    民事裁判では、原告がさまざまな請求をします。
    たとえば、下記のようなケースです。

    • 金銭を支払ってほしい
    • 土地・建物を明け渡してほしい
    • 離婚を認めてほしい
    • 情報を開示してほしい


    これらの訴えについて裁判官が審理し、請求が認められるのか、どの程度の範囲で認められるのかなどについて判決を下します。

    常に原告の請求が認められるわけではなく、原告の権利が認められない場合は「請求を棄却する」という判決が下されます。
    いわゆる「原告敗訴」です。

    権利が認められた一方を勝ったとするならば、権利が認められなかった、あるいは重たい義務を課せられた一方は、負けたといえるでしょう。

    ただし、民事裁判の勝ち・負けは、必ずしも「正しいほうが勝つ」とは限りません。原告が主張を裏付ける証拠を提出できなかった場合、原告の請求が認められないこともあります。また、たとえ原告の請求が不当であっても、被告が反論しなかったり、裁判所に出頭しなかったりすれば、民事訴訟法の定めにしたがって原告の主張が認められてしまいます。

2、「刑事」とは?

次に「刑事」について確認していきましょう。

  1. (1)刑事事件は「犯罪」

    刑事事件は、人が起こした犯罪に対して、警察・検察庁などの捜査機関が捜査をおこない、刑事裁判によって刑罰の要否や程度を問う全般的な流れを指す言葉です。

    どのような行為が犯罪にあたるのかをもっとも端的に示しているのは「刑法」です。
    刑法では「~をした者は懲役◯年に処する」と、行為に対する刑罰を定めています。

    また、刑法のほかにも、道路交通法や覚せい剤取締法といった「特別法」と呼ばれる法律では「~してはならない」「~しなければならない」という規定があります。
    これらの規定に違反し、各法律に罰則の規定が設けられていれば、犯罪として刑罰の対象になります。

  2. (2)刑事裁判の争点・効果

    刑事裁判は、罪を犯した疑いのある「被告人」について、犯罪の事実が認められるのか、どの程度の刑罰が適当であるのかが審理されます。

    刑事裁判は、たとえ被害者であっても訴えを起こすことはできません。
    刑事裁判の訴えを提起できるのは検察官だけで、被害者は捜査機関を通じて「犯罪被害に遭った」「相手を処罰してほしい」と訴えて捜査を促す存在に過ぎません。

    刑事裁判では、最終的に有罪・無罪を決定し、有罪であれば法律に定められた範囲内で刑罰が下されます。

3、刑事事件が民事事件にも該当する理由

民事事件と刑事事件は、争う当事者も、争いの内容もまったく異なります。
ところが、数多いトラブルのなかには、刑事事件にも民事事件にも該当するケースが多いと言えます。なぜでしょうか。

  1. (1)「犯罪」によって「損害」が発生しているため

    ある行為が犯罪にあたる場合、その行為によって被害者に損害が発生していることがあります。
    たとえば、飲酒運転で交通事故を起こし、相手にケガをさせて車も壊してしまったとします。
    飲酒運転による人身事故が危険運転致死傷罪に該当すれば、加害者は懲役刑に処される可能性があります。
    ところが、加害者が懲役刑を受けて罪を償ったとしても、被害者はケガの治療費や「ケガをさせられた」という精神的な損害、車の修理費という物理的な損害も被っています。
    そして、その損害は懲役では補てんされません。

    また、罰金刑が規定されている犯罪でも、罰金は国に納めるものであり、被害者の損害賠償に充てられるものではないのです。

    刑事事件で有罪となり刑罰に処された場合だけでなく、たとえ不起訴処分を得て刑罰が科せられなかったとしても、被害者が負った損害に対する賠償とは別問題です。行為を罪に問う面では刑事事件として捜査機関や検察官に任せざるを得ませんが、行為によって生じた損害は、被害者が民事裁判を起こすことも可能です。
    そのため、刑事・民事の両方で裁判が開かれる場合があるのです。

    もちろん、被害者の請求が認められるためには、加害行為や損害、因果関係等が立証されなければなりませんから、常に被害者の請求が認められるということにはなりません。

  2. (2)損害賠償命令制度が適用されるケース

    刑事事件の被害者が、刑事裁判手続きの中で民事上の請求を行うことは、原則としてできません。

    そのため、刑事事件の被害者は、基本的に民事事件として、別途必要に応じて裁判を提起する等の対応を取る必要があります。
    ただし、刑事事件の手続の中で、例外的に一定の事件については「損害賠償命令制度」が設けられており、被害者の申立てがある場合には、刑事事件の審理を担当した裁判官が、有罪判決を下したあと、引き続いて損害賠償請求も審理することができます。

    対象となる犯罪事件は、次の6つです。

    • 殺人・傷害など、故意に人を死傷させた罪
    • 強制わいせつ・強制性交等の罪
    • 逮捕・監禁の罪
    • 略取・誘拐・人身売買の罪
    • 上記4つの行為を含むほかの犯罪
    • 上記5つの未遂罪


    ※過失犯(業務上過失致死傷、重過失致死傷、過失運転致死傷等)は対象外。

    刑事事件の審理を終えて「終わった」と思っていても、被害者が損害賠償命令制度を利用して訴えを起こしていれば、引き続き民事上の請求についての審理が続きます。

4、刑事と民事の両方で裁判になる可能性が高いケース

刑事と民事の両方で裁判になる可能性が高いケースについて、具体例をもとに見ていきましょう。

●交通事故
交通事故を起こして相手にケガをさせてしまえば、自動車運転処罰法の違反になります。
また、任意保険による賠償が十分でない場合や、そもそも任意保険に加入していなかったケースでは、損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があります。

●名誉毀損
ネット上の誹謗中傷などのように、公然と事実を摘示して他人の名誉をおとしめた場合は、刑法に規定されている名誉毀損(きそん)罪に該当します。
名誉毀損罪に該当するケースでは、被害者は多大な精神的損害を受けるため、被害者が加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起した場合、精神的慰謝料が認められる可能性があります。

●強制わいせつ・強制性交等
いわゆる「痴漢」や「レイプ」と呼ばれる行為は、刑法の強制わいせつ罪や強制性交等罪に該当します。
被害者の多くは女性で、被害後はこわくて外出できないといった精神的損害を被ってしまいます。刑事事件が進行している間に示談が成立する等の事情がなければ、損害賠償命令制度によって、賠償を請求される可能性が十分あります。

●窃盗・詐欺・横領
窃盗や詐欺・横領といった財産犯の事件は、それぞれ刑法に規定されているため刑事事件として処罰を受けます。
ところが、警察や検察官が、刑事事件として処理しても、被害者に対する被害の完全な回復が必ずしも図られるとは限りません。
時計や宝石などの「物」やお金を盗まれた場合、被害者に還付される可能性はありますが、すべての被害品が加害者の手元に残っているとは限らないため、完全な被害回復はできないこともあるのです。

これらの事件では、加害者が自主的に返還しない限り、被害者から被害金額相当の損害賠償を求める訴えを提起されるおそれがあります。

5、まとめ

罪を犯して刑事事件の扱いを受け、刑罰が科せられて罪を償ったとしても、あるいは検察官が不起訴処分を下して刑罰を受けなかった場合でも、被害者に損害があれば民事裁判を提起されるおそれがあります。
刑事事件が終了したあとに民事裁判として訴えられてしまうリスクを回避するには、刑事事件が進行している間に、被害者との示談交渉を進めて賠償することが賢明です。

示談交渉であれば、金額や支払い方法について譲歩してもらえる余地があります。
また、示談が成立していれば、刑事事件においても不起訴処分の獲得や刑罰の減刑など、有利にはたらく面が大きいといえます。

刑事事件の対応に加えて民事裁判までも提起されてしまえば、相当な心労を伴うでしょう。
民事責任も問われるおそれがある刑事事件を起こしてしまった方、ご家族が事件を起こしてしまった方は、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスにご相談ください。
経験豊かな弁護士が、全力でサポートします。まずはご一報ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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