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会社が倒産! 退職金や未払いの賃金がある場合に回収する方法はある?

2020年12月10日
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会社が倒産! 退職金や未払いの賃金がある場合に回収する方法はある?

新型コロナウイルスの流行による景気の悪化は深刻です。
神戸市内では、神戸港を拠点とするレストランクルーズ船の運営会社が12億円以上の負債を抱えて倒産したほか、全国の百貨店で販売実績のあるアパレル会社が約11億5000万円の負債を抱えて倒産しています。

体力のある大手企業でさえも巨額の負債を抱えて倒産している状況なので、資金力の弱い中小企業は厳しい状況に追い込まれているといえるでしょう。

もし、勤務先の会社が突然倒産してしまった場合、これからの仕事や収入に対して不安を感じるのはもちろんですが、まずは「未払いの賃金や退職金はどうなるのか……」と考えるのが当然です。では、倒産してしまった勤務先の会社に対して、未払いとなった賃金や退職金を請求することは可能なのでしょうか?

本コラムでは、勤務先の会社が倒産した場合や倒産しそうな場合に、未払賃金、退職金を回収する方法について、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、倒産した場合でも賃金・退職金は請求できる

会社が倒産してしまった場合でも、すでに行った労働に対する賃金や退職金などの支払いを求めることが可能です。では、具体的にみていきましょう。

  1. (1)倒産とは

    倒産という言葉を聞くと、経営が悪化したために会社をたたみ事業を終了させる、という状態をイメージする方が多いのではないのでしょうか。しかし、倒産と一口にいっても、すべてのケースにおいて会社が消滅するわけではありません。

    倒産には大きく分けて、法的整理にはよらずに当事者(債務者・債権者)による協議で整理をすすめる「私的倒産」と、法的手続きによる「法的倒産」に分けられます。
    そして、法的倒産には、会社を存続したまま再建を図ることを目的とする再建型、会社の消滅や株式会社の解散によって債務を整理する清算型に分類されます。

    冒頭に解説したような会社をたたむという状況の場合、会社を解散させ、すべての財産を分配して清算するケースが多く、手続きとしては清算型における「破産」が該当します。

  2. (2)未払賃金などの権利と義務は消滅しない

    会社が事業の継続を諦め倒産したとしても、それが私的倒産に留まる限りは、未払賃金や退職金、残業代といった労働債権が消滅することはありません。働いた分に対する賃金の支払を受ける権利(会社からみると支払う義務)は、そのまま残ります。
    ただし、退職金については会社の就業規則に退職金の支払規定がある場合など、支給金額の算定が可能な程度に明確に定められている場合でないと、そもそも権利が認められない点に注意が必要です。

    なお、会社が法律上の倒産手続きに入った場合は、法律に定められた債権の優先順位に従って、支払いが行われることになりますが、会社が行っている法的処理の方法によって優先順位は変わる可能性があります。また、手続きに従って、裁判所への届け出も必要です。

2、未払賃金に基づく差し押さえは可能?

会社の経営状況が悪化しており、給与の未払いが生じている場合は、会社が法的な倒産手続きに入ってしまう前に、未払賃金や退職金の確保に向けてできることがあります。

  1. (1)先取特権の行使による差し押さえ

    未払賃金や退職金は、税金や社会保険料などに次いで優先的に確保される「先取特権」が与えられています。

    通常、債権を強制的に回収する場合は、「債務名義」が必要です。債務名義とは、強制執行をする際に必要となる文書のことで、確定判決や和解調書、調停調書、執行認諾文言付公正証書などが、これにあたります。しかし、先取特権が与えられている債権については、債務名義がなくても、強制執行と同様の効力を持つ「担保権の実行手続き」を行うことができます。

  2. (2)先取特権による差し押さえの流れ

    未払賃金や退職金の回収で先取特権を行使する場合は、裁判所に対して「担保権の存在を証する文書」の提出が必要です。

    先取特権に基づく差し押さえは、裁判官によって債権の存在や範囲が判断されます。つまり、訴訟のように、双方の言い分を確認する場は設けられません。そのため、未払賃金が発生していることを具体的に証明する証拠として「担保権の存在を証する文書」が必要になるのです。

    「担保権の存在を証する文書」となり得るのは、次のようなものが考えられます。

    【未払賃金に基づく差し押さえ】
    • 雇用契約書
    • 就業規則
    • 賃金台帳
    • 未払分の給与明細
    • 過去の給与明細
    • 過去の源泉徴収票
    • 勤怠を示す出勤簿やタイムカード


    【退職金支払請求権に基づく差し押さえ】
    • 雇用契約書
    • 就業規則(退職金規定のあるもの)
    • 離職票や退職証明書
    • 解雇通知書
    • 勤続年数を示す資料


    なお、会社側と労働債権の存在について確認を行うことができた場合は、未払労働債権確認書を作成し会社からの署名押印をもらうことで、上記に代わる証拠として利用することができます。

3、未払賃金立替制度の利用

会社が倒産しても未払賃金や退職金を請求する権利は消えませんが、現実的には、倒産した会社にこれらを支払う資力が残されていないケースも少なくありません。
いくらほかの債権に優先して支払われるとはいえ、差し押さえるべき財産がなければ対処のしようがなくなってしまいます。

ここで取るべき手段のひとつとして挙げられるのが「未払賃金立替制度」の利用です。
上限額はあるものの、倒産によって会社が支払い不能になった場合に未払賃金や退職金を政府に立て替えてもらえます。

  1. (1)未払賃金立替制度とは

    未払賃金立替制度は「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき、政府が未払賃金を立て替えてくれる制度です。勤務先の会社が倒産して賃金や退職金が未払いになった場合に、上限はあるものの未払賃金の総額の80%を立て替えてもらえます。

    立て替え払いの上限額は、退職日の年齢によって決まります。

    • 45歳以上…296万円
    • 30歳以上45歳未満…176万円
    • 30歳未満…88万円


    昭和51年に制度がはじまって以来、令和1年3月までの間に約127万人の労働者が制度を利用し、総額で約5285億円の立て替え払いが行われています。

  2. (2)制度の利用条件

    未払賃金立替制度を利用できるのは、労働者災害補償保険の適用事業で、1年以上にわたり事業活動を行っていた事業主に雇用されており、会社の倒産に伴い、賃金が支払われないまま規定の期間内に退職した労働者です。

    ここでいう「倒産」とは、次のいずれかの状態を指します。

    • 勤務先の会社が破産等について裁判所から決定や命令を受けた場合
    • 労働基準監督署長が事実上の倒産を認めた場合


    つまり、近く倒産するのは間違いない状態であっても、いまだ経営が継続している状態ではこの制度は使えません。

    また、立て替え払いを請求できる期限は、裁判所の破産等の決定の日又は労働基準監督署長が事実上の倒産を認めた日の翌日から2年以内です。
    2年を経過すると制度が利用できなくなるので注意しましょう。

    なお、未払賃金立替制度で立て替えが可能なのは、定期賃金と退職金のみです。
    ボーナス・賞与は対象外で、さらに未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象外となります。

4、未払賃金・退職金の回収は弁護士へ相談

勤務先の会社が倒産してしまい、賃金や退職金が未払いになっている場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。

会社が倒産した場合、未払賃金を「支払わなくてもよい」と考えている使用者も少なからず存在しています。また、倒産するような状況であれば、労働者への対応が二の次になることもあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、できる限りスムーズな回収につながるように、事実関係を明らかにした上で、会社側と交渉を進めるなど、適切なサポートを受けることができます。

また、まだ倒産には至っていないものの、すでに賃金の支払いが滞っているような状況であれば、会社側と交渉し未払賃金の存在を証明する労働債権確認書を作成するほか、証拠の収集などをすすめ、先取特権を実行できるように準備を進められる可能性もあります。

弁護士は、未払賃金や退職金を正確に算出した上で、それぞれの状況に応じた最適な回収プランを提案することができるほか、代理人として交渉の一切を任せることもできるので、心強いパートナーになるでしょう。

5、まとめ

勤務先の会社が突然倒産してしまったとしても、原則として、未払賃金や退職金といった労働債権は優先的に支払われるものと規定されていますが、会社に資力が残っておらず現実に支払いを受けることができないこともあり得ます。そのため、会社が法的な倒産手続きに入る前に会社と交渉を行うなど、未払賃金を回収できるようにアクションを起こすことが大切です。

賃金支払が滞っていて勤務先が倒産するのではと不安を抱えている方や、すでに倒産してしまい未払賃金を回収したいとお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスにご相談ください。
労働問題の解決実績が豊富な弁護士が、チーム一丸となってお悩みやトラブルの解決に力を尽くします。まずは、ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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