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遺言執行者が選任されている場合の相続人への影響と相続の流れ

2021年09月27日
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遺言執行者が選任されている場合の相続人への影響と相続の流れ

神戸市役所では、金銭問題や日常トラブルなどの問題について、一般的な観点から解決の糸口をみつけてもらえるよう、市民相談員が相談に応じる「一般相談」を行っています。法的な相談やサポートは受けることはできませんが、相続問題も相談ができるようなので、利用してみるのも一案でしょう。

相続にまつわるトラブルはさまざまありますが、相続人以外の人が「遺言執行者」に選任されていたことで、トラブルに発展するケースもあります。相続人が遺言の存在や内容を知らなければ、ある日突然、遺言執行者だと名乗る人から連絡が来ることになります。このようなとき、どう対応するべきなのか、とまどうのは当然です。特に、資産が多い場合は、よくわからないままに遺言執行者主導で相続が進むことに不安を覚えるかもしれません。

本コラムでは、相続人以外の人が遺言執行者として指定されていた場合の対応について、神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言執行者とは

  1. (1)遺言執行者の役割

    遺言執行者とは、亡くなった方の遺言書がある場合、遺言の内容を実現するため、手続きを行う人のことです。

    財産を残しても、それが実現されなければ意味がありません。しかし、遺言が効力を持つのは、自分自身が亡くなった後のため、自ら実行することはできません。そのため、生前に遺言を執行してくれる、信頼できる人物を決めておくことができるのです。

    遺言執行者の具体的な役割としては、次のようなものがあげられます。

    • 遺言に書かれている遺産の内容を調査
    • 建物、土地などの不動産名義の変更
    • 銀行預金などの金融資産の解約や分配手続き
    • 動産の引き渡し など
  2. (2)遺言執行者はどのように決めるのか

    遺言執行者は、被相続人(遺言作成者)が遺言の中で指定することができます。具体的には、『○○を遺言執行者に指定する』という一文を入れておくことで、事足ります

    遺言執行者として選ばれた人は、必ずその任務を引き受けなければならないわけではありません。遺言執行者として指定されている人が、遺言執行者としての任務を拒む場合は、新たに遺言執行者を選任することができます。ただし、この場合、相続人の意思だけで遺言執行者を決めることはできません。必ず、家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てを行い、裁判所が選任した人物が遺言執行者として遺言の内容を実現していくことになります。

  3. (3)遺言執行者になれない人

    遺言執行者は、原則として誰でもなることができます。相続人である必要もなく、親族ではない知人や専門家が指定されていることもあります。
    ただし、遺言の効力が発生した時点で(遺言者が亡くなった時点)、『未成年者』と『破産者』は、遺言執行者になれません(民法第1009条)。

    一般的には、相続人のうちの誰かを遺言執行者に指定することが多いようです。しかし、遺産額が大きい場合や、相続人の間に紛争がある場合などは、中立的な立場で法的な手続きが行える弁護士などが選任されている場合もあります

  4. (4)遺言執行者の報酬

    遺言執行者は報酬を受け取ることができます。遺言に金額が記載されている場合は、遺言書に記載されたとおりの金額が遺言執行者の報酬になります。そのため、遺言執行者を選任する遺言が出てきたら、遺言執行者の氏名とともに、遺言執行報酬額も確認するようにしましょう。
    家庭裁判所から遺言執行者が選任された場合には、遺産の額や、遺言執行内容の複雑さなどから、家庭裁判所が報酬を決定します。遺言執行者への報酬は、遺言者の遺産から支払われます。

  5. (5)遺言執行者と相続人との関係

    民法は、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」(民法第1012条第1項)と規定しております。したがって、遺言執行者以外の人が、勝手に遺産分割に関する手続きをすることはできません。

    なかには、相続人がよく知らない故人の知人などが遺言執行者に選任されているケースもあります。その場合でも、相続人が遺言執行者を無視して相続手続きを進めることはできないのです。遺言執行者としっかり連絡を取り合い、今後の手続きについて確認するようにしましょう。
    なお、遺言執行者の任務は、あくまで遺言に記載されていることだけです。遺言に書かれていない事柄については、相続人が行う必要があります。

2、遺言執行者が選任されている場合の相続の流れ

遺言によって遺言執行者が指定されている場合、相続はどのように進んでいくのでしょうか。

① 遺言執行者の承諾または辞退
遺言執行者に選任された人は、遺言執行者になることを承諾するのか、辞退するのかを選ぶことになります。遺言執行者が就任を承諾した場合は、遺言執行者から相続人に対して、遺言執行者になった旨の連絡が入ります。

② 遺言内容の開示
遺言執行者は、相続人に対して遺言の内容を通知します。

③ 遺言執行者による遺産調査
遺言執行者は、遺言書に記載された遺産を調査します。

④ 財産目録の作成
遺言執行者は、遺言者の財産目録を作成して相続人に交付しなければなりません。財産目録とは、遺言者名義の財産とその価値の額を一覧表にしたものです。財産目録に掲載される財産としては、遺言者名義の不動産、銀行の預貯金、株式などの有価証券、保険、自動車などに加え、ローンや借入金なども含まれます。

財産目録を受け取った相続人は、内容を確認し、わからないところがあれば、積極的に遺言執行者に質問して疑問を解消しましょう。遺言執行者にも、間違いや見落としがあるかもしれないので、くまなくチェックすることが大切です。

相続人は、遺言執行者に請求をすれば、財産目録の作成に際して、立ち会うことや公証人に作成させることができます。

⑤ 遺産の分配を実行する
財産目録が整うと、次は遺言の内容に沿って、実際に遺産を指定通りに分配していきます。具体的には、不動産の所有権名義を相続登記によって変更する、銀行預金を払い戻し相続人に振り込むなどの手続きが実行されます。

⑥ 受遺者に遺産を引き渡す
遺産は、原則として法定相続人が承継する権利を持っていますが、遺言があれば相続人以外の人に遺産を譲り渡すこともできます。遺言によって相続人以外の人に遺産を譲ることを遺贈といいます。遺言の中に遺贈の希望があれば、その手続きも遺言執行者が行います。

3、相続人が制限される行為

遺言執行者が選任されている場合、相続人は遺言の対象となった相続財産につき、処分やその他、遺言の執行を妨げるべき行為をしてはならないと規定されています(民法第1013条)。

たとえば、遺言によって特定の人に遺贈された財産を、相続人のひとりが自分のものだとして処分してしまったり、勝手に預金を引き出したりすることは許されません。制限に反した行為は、原則として無効になります。

4、遺言執行者を相続人が解任できる?

遺言執行者は、遺産を管理する権利を持つ権限者です。相続人としては、重要な相続手続きを委ねるため、遺言執行者が信頼できる人物なのか気になるのが当然です。仮に、全く信頼できない人であった場合、相続人は、遺言執行者を任せておくことに不安を覚え、解任したいと考えるかもしれません。
この点、遺言執行者が選任された後でも、遺言執行者の解任と辞任は認められています。では、どのような場合に解任や辞任が認められるのか、確認していきましょう。

  1. (1)相続人による遺言執行者の解任

    遺言執行者を解任できるのは、遺言執行者としての任務を怠ったとき、その他正当な事由があるときに限られています。単に、遺言執行者が信頼できない、選任に納得できないという理由だけでは解任することはできません。

    解任の理由として認められる可能性があるのは、次のような場合が考えられます。

    • 遺言執行者としての遺産の調査や管理を一向に行わない
    • 病気や多忙により遺言執行手続きが進められない
    • 遺言執行に関し、一部の相続人の有利になるような取り扱いをしている
    • 遺言内容と異なる財産処分手続きを取ろうとしている
    • 遺言執行者自身の利益を図るような処分行為を進めている など


    遺言執行者の行動に問題があり解任を希望する場合は、相続人や受遺者など、遺産相続に関する利害関係人が、家庭裁判所に対して遺言執行者解任の審判を申し立てる必要があります。裁判所は申立人や遺言執行者の主張を確認し、解任事由の有無を判断します。

  2. (2)遺言執行者自身による辞任

    遺言執行者自身も、その地位を辞任することが認められています。ただし、勝手に辞めることは許されず、家庭裁判所に辞任の申し立てを行って、認めてもらう必要があります。

    遺言執行者の辞任が認められる可能性があるのは、次のような場合です。

    • 病気や高齢のために十分に遺言執行者の任務を務められない
    • 多忙すぎて、遺言執行者の任務を円滑に進められない
    • 遺言執行の内容が複雑すぎて、自分の能力では管理しきれない など

5、まとめ

遺言によって、遺言執行者の存在を知った場合、とまどうこともあるでしょう。もちろん、遺言執行者が実直に役割を果たしてくれ、スムーズに相続が進むのであれば何ら問題はありません。しかし、遺言執行に関する手続きは複雑で、もしも誤りがあると、相続人が損をしてしまうなど思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。遺言執行者について不安がある場合は、相続に関する経験が豊富な弁護士に、早めに相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスでは、相続にまつわるご相談を受け付けております。初回のご相談は、原則60分まで無料です(※)。お悩みを抱えている場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

(※)ご相談の内容によっては、有料のご案内になる場合がございます。詳しくは、お問い合わせ時にご確認ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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