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相続で孫は遺留分を請求することは可能? もらえる割合や注意点とは

2020年11月10日
  • 遺留分侵害額請求
  • 遺留分
相続で孫は遺留分を請求することは可能? もらえる割合や注意点とは

神戸市が毎月公開している統計データによると、神戸市では、令和2年の上半期(1月~6月)に出生した人数5055人、死亡した人数は8209人で、出生人数に対して約1.6倍の人数が亡くなっていることがわかります。

親族が亡くなったときに直面する相続問題ですが、最低限もらえるはずの遺産の取得割合(遺留分)を侵害された場合、一定範囲の法定相続人は侵害された分を請求することができます。では、亡くなった方が祖父母だった場合、孫には相続権があるのでしょうか。そして遺留分を請求することはできるのでしょうか。

本コラムでは、遺留分の基本的なポイントを確認した上で、孫が遺留分を請求できるのか、そして具体的に請求できる割合などについて、ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスの弁護士が解説します。

1、遺留分とは

最初に、遺留分について確認しておきましょう。遺留分とは、一定範囲の法定相続人(遺産をもらえる人)が取得することを保障されている、最低限の相続財産取得分のことを言います。

遺留分は民法第1042条において規定されていますが、おさえておきたいのは次の3つです。ひとつずつ、確認していきましょう。

  1. (1)法定相続人であれば必ず受け取れるわけではない

    遺留分を受け取る権利がある人(遺留分権利者)は、一定の範囲の法定相続人に限定されています。遺留分権利者は、具体的には被相続人である故人の配偶者、子ども、直系尊属(父母、祖父母など)が対象です。

    一方、故人に兄弟姉妹がいた場合、その兄弟姉妹が法定相続人となったとしても、遺留分を受け取る権利はありません。
    また、相続権を放棄した人(相続放棄)や、被相続人の意思で権利を失った人(相続廃除)についても、遺留分は認められていません。

  2. (2)法定相続分と遺留分は違う?

    遺留分と混同されがちなものに、法定相続分があります。法定相続分とは、配偶者や子どもといった法定相続人が、どの程度相続できるのかを法律で具体的に定めた割合のことです。

    たとえば、法定相続人が配偶者のみの場合は、配偶者が全財産を相続します。
    配偶者と子どもの場合は、それぞれが1/2ずつ、配偶者と直系尊属の場合は、配偶者が2/3で直系尊属が1/3ずつ相続します。また、配偶者がおらず直系尊属のみの場合は、直系尊属がすべてを相続します。

    法定相続分は、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)や遺言書で遺産をどのように分割するかが決まらなかったときに用いる基準です。
    遺言書があれば、基本的に遺言書に書かれた内容に従って相続することになる場合が多いと言えます(ただし、遺言書があったとしても、相続人全員が納得し、遺産分割協議がまとまるのであれば、遺言書と異なる内容の分割をすることもできます)。

    遺言書がなく、遺産分割協議がまとまらない場合には、最終的に調停・審判等の手続を経たとしても、法定相続分による相続となる可能性が高いため、法定相続分は遺産分割協議の際の目安となることが多いと思われます。

  3. (3)遺留分の割合は法定相続人ごとに異なる

    相続財産に対する遺留分権利者全員の遺留分割合は、民法第1042条において規定されています。
    相続人が直系尊属のみだった場合は被相続人の財産の1/3が対象となり、それ以外のケースでは1/2です。
    ただし、これは相続人全員に対する遺留分割合です。それぞれの相続人の遺留分割合は、相続人全員の遺留分割合に対して法定相続割合を乗じることで算出できます。

    相続人それぞれの遺留分割合は、次のとおりです。

    • 配偶者のみ:1/2
    • 配偶者と子ども: 1/4ずつ
    • 配偶者と直系尊属:配偶者は1/3、直系尊属は1/6
    • 直系尊属のみ:1/3ずつ


    なお、遺留分は法定相続分と同様、対象となる人数が複数の場合は全員で分割することになります。たとえば、故人に配偶者と2人の子どもがいる場合、配偶者の割合は1/4ですが、子どもの遺留分は1/4÷2人で1/8ずつです。

2、孫は遺留分を請求できる?

相続人である故人の子どもは法定相続人ですが、被相続人よりも先に子どもが亡くなっている場合は、子どもの直系卑属(故人の孫)が相続人になります。これを代襲相続と言います。 では、相続人になった孫に、遺留分は認められるのでしょうか。

  1. (1)代襲相続をした孫は遺留分の請求ができる

    結論から言えば、代襲相続をした孫には遺留分を請求する権利があります。

    代襲相続をした場合、遺留分の割合は故人と同様です。
    たとえば、代襲相続をしたのが孫ひとりであり、故人に配偶者がいるときの遺留分は1/4、配偶者がすでに亡くなっているときの遺留分は1/2となります。
    また、故人に複数の子ども(代襲相続人から見たら伯父・伯母など)がいるときは、按分することになります。

    少し複雑になるため、例をあげて考えてみましょう。

    故人に2人の子ども(兄と弟)がいて、兄はすでに亡くなっていますが、兄には子ども(孫)がひとりいたとします。他に相続人はいません。
    故人の遺産が1億円だった場合、兄の子ども(代襲相続人)と弟の遺留分はそれぞれ2500万円です。もし、代襲相続人(兄の子ども)が2人いた場合は、弟の遺留分は2500万円、兄の子どもはそれぞれ1250万円ずつが遺留分となります。

  2. (2)おい・めいは遺留分の請求はできない

    故人に兄弟姉妹がおり、かつ配偶者以外の法定相続人がいないとき、民法ではその兄弟姉妹が法定相続人となります。しかし、前述したように兄弟姉妹には遺留分が発生しません。兄弟姉妹に子ども(おい・めい)がいた場合、代襲相続はできますが、同様に遺留分は発生しません。

3、遺留分を請求する方法

相続する遺産が、民法で規定されている遺留分の割合を侵害している場合、当該の法定相続人は遺留分を侵害している相続人に対して、侵害している割合分を請求することが可能です。これを遺留分侵害額請求と言います。請求の方法は以下のとおりです。

  1. (1)内容証明郵便で通知する

    まずは、内容証明郵便で遺留分を請求書する旨を相手に通知します。内容証明郵便とは、誰にいつどのような内容の郵便を送ったのか郵便局が証明してくれるものです。
    被相続人の氏名、相続の内容、遺留分を侵害している旨、遺留分侵害請求権を行使する旨などを書面にまとめて送りましょう。
    相手への通知は口頭でも可能ですが、請求した証拠を残す意味でも書面で行うほうが良いでしょう。

    また、遺留分侵害額を請求できる期間は時効により限定されており、時効にかかる前に請求権を行使する必要がありますので、いつどのような内容で請求したかが分かる内容証明郵便で書面を送ることがとても重要です。

  2. (2)相手と直接交渉する

    相手が交渉に応じてくれる場合は、当事者同士で協議を行います。話し合いでまとまれば、良好な関係を保ったまま解決することができるでしょう。ただし、話し合いのみで解決した場合も、後々トラブルに発展しないように和解書(合意書)を作成するのがベターです。

  3. (3)調停を申し立てる

    内容証明郵便を送ったものの、相手から一切の反応がない場合や、話し合いがこじれてしまった場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てます。調停では、裁判官や調停委員を交えて、解決に向けた話し合いを行います。調停で双方が納得いく結論がでた場合は、調停成立となり調停調書が作成されます。

    なお、遺留分侵害額の請求調停が申し立てられるのは、令和1年7月1日以降に被相続人が亡くなった場合です。令和1年7月1日より前に亡くなった場合は、改正前の民法の規定に基づき、遺留分減殺による物件返還請求調停を申し立てることになります。

  4. (4)訴訟を提起する

    調停が不成立に終わった場合は、遺留分侵害額請求訴訟を提起することになります。訴訟では、双方の主張や証拠を元に、裁判所が最終的な判断を下すことになります。訴訟を提起するにあたっては、必要事項を記載した訴状を作成する必要があり、裁判では事実を客観的に証明できる証拠も提出しなければなりません。これらを適切に行うためには専門的な知識を要しますから、弁護士のサポートを受けるのが賢明でしょう。

4、孫が遺留分を請求する際の注意点

代襲相続をした孫が遺留分を請求するときには、次のことに注意する必要があります。

●遺留分侵害額請求権の時効
前述のとおり、遺留分侵害額請求権には時効があります。具体的には、相続の開始および、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知ってから1年間、もしくは相続開始のときから10年間です。

●用意するべき戸籍謄本が多い
調停を申し立てるにあたっては、家庭裁判所に戸籍謄本を提出する必要があります。孫の場合は、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本だけでなく、被相続人の子ども(孫から見た親)の出生時から死亡時までの、すべての戸籍謄本も必要です。

●相続人を把握するのが難しい
孫が代襲相続で遺産を引き継ぐとき、実は代襲相続人が他にもいたことなどに、あとから気づくことも少なくありません。
代襲相続人になった場合には、相続人調査をしっかりと行うことが大切です。そのためには、弁護士のサポートを受けることも検討したほうがよいでしょう。

5、まとめ

祖父や祖母が亡くなった際に、すでに自分の親が亡くなっていれば、代襲相続により孫にも相続権があり、遺留分を請求する権利もあります。遺留分を侵害するような贈与や遺贈があった場合は、遺留分侵害額請求権の行使を検討すると良いでしょう。

遺留分を請求できるのか知りたい、遺留分を請求したいが親族間で話がこじれるのは避けたい、など遺留分にまつわる問題でお悩みの場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士であれば、それぞれの状況に応じた対応策を講じることや、代理人として相手方と交渉することが可能です。また、調停や訴訟のサポートも依頼することができるので、問題解決まで心強いパートナーとなるでしょう。

ベリーベスト法律事務所 神戸オフィスには、相続問題の解決に精通した弁護士が在籍しています。まずは、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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